キャラなう。

キャラの気持ちを聞いてみる?
それともなんでも(!?)探偵団のレポートを見る?
◆SS/ブラッディ・ビースト 

*俺様×挑発的な受け
*ケンカップル
*R18
*攻め視点
*微流血表現あり































澱んだ空気、籠る熱気、狂おしい嬌声、滴る汗、軋む寝台、それから。

濡れた唇に伝う、錆び付いた、血の味。

ペロリ、と鉄の味がする唇を舐めれば、興奮が更に煽られる。

毎度する、ケンカの後。
俺達はいつも興奮し、血に飢えた獣のように、互いを貪り合う。
とはいえ、互いにプライドが高いから「愛してる」だの「気持ちいい」だの、そんな甘ったるい言葉は飛び交うことはなく。
ましてや、快楽に溺れた姿なんざ絶対に、見せやしない。

「っ、は、ァっ…!っ、ヘタ、くそ…!」

何時間も前から抜きもしないで繋がる腰を、肌を鳴らすように激しく打ち付ける。
俺のテクでよがるどころか、コイツは毎度悪態を吐く。
そうだ。そんくれェ生意気じゃなきゃ。
―つまんねェ、だろ?

強気な仮面を羞恥で引き剥がすように、口角をあげながらピアスのついた、生意気な耳に唇を寄せ、極上のバリトンで囁く。

「るせぇよ淫乱。これはなんだ?あ?」

吐かれた言葉の割には、随分気持ちよさげに勃ちあがるぺニスを、強く握りしめる。
わざと焦らすように腰を動かせば、燻っている身体に火がついたのだろう、眉を潜めながら睨み付けてきた。

「っ、るっせぇよ変態…ハッ、」

尚も挑発的に口角をあげながら、妖艶に笑む姿に、情けないが埋まる欲望が膨らむ。
一瞬の戸惑いとからかいを含めた瞳と、悪い口を縫うように唇を塞ぎながら、腰を打ち付けた。

コイツの、全身に浴びる白濁に絡む血の臭いと汗の臭いと男臭いが、堪らなく血を掻き立てる。

「っ、…ヤられっぱなしは趣味じゃねェっつってンだろ、バーカ」

ガリ、と噛まれた唇にまたも錆び付いた味が染みつき、白濁に赤が混ざる。

ニイ、と吊り上げられた唇を他所に、鎖骨に無数の噛み痕を残せば、小さな喘ぎと共に肩を噛みつかれた。

「っチ、…犯すぞゴラ」

「フン、誰が犯されるかってーの。でも、まあ」

からかい混じりに笑いながら錆び付いた唇を舐めれば、鼻を鳴らして悪態を吐く。

そして、…噛み痕を互いにつけながら、血に飢えた獣のように、互いを貪りあうのだ。

キスマーク?んなもん、誰がつけるか。
んなもんより、もっと激しいマーキングが、あんだろ?

なあ、血に飢えた淫乱な獣よォ?

「テメェが狗になるってンなら考えてやる」

「バーカ誰がなっかよ」

そうして、からかい混じりに笑いながら噛み痕をつけて、血に飢えた獣のように、俺らは幾度も貪り合うのだ。


――

R18で、ケンカップル!
萌えた、萌えたよ書いててw←
挑発的な受けも好き(*´ω`)

2013/08/29(Thu) 17:48  コメント(0)

◆SS/バカな子ほど可愛い 

*俺様×男前
*攻め視点
*ケンカップル


―なんだかんだいって、ここまで言われたことはない。

俺とコイツ以外いない夕暮れに染まる放課後の、とある一室。
首輪を外された駄犬のように、キャンキャン騒ぐ恋人の罵声が響き渡る。

「ッ、こんの変態!鬼畜野郎!」

キッと黒目を吊り上げて睨む様は、まるで駄犬だ。
煩いったらありゃしねェ。
けど、そんなとこも俺には可愛く映って仕方なくて。
こんな甘ったりィ感情、誰が見せるかバーカ。

こんくれェの罵声なんていつも通りで、いつものように、俺は言い返す。

「るっせぇな、テメェはそれしかいえねーのかよ。脳ミソ空っぽなんじゃねェのか?」

「ンだとゴラ!テメェこそ、節操なしのホスト教師だろーが!!」

胸ぐらを掴まれ、いつにも増して怒気が含まれる黒目に、脳裏を小さな違和感が掠める。
…マジで怒ってやがんのか?コイツ。

つか節操なしとか、何が言いたいンだ?あ"ぁ?

珍しくいつにも増してヒートアップする駄犬に、大人げなく俺も銜えていた煙草の紫煙を深く吐き、冷たく言い放つ。

「あ"ぁ?何が言いたいンだテメェ」

節操なしという言葉の意味は十分理解している。
だからこそ理解し難く、睨み返しながら吐き捨てた言葉には、異様な冷たさが帯びていた。

「ッ、テメェが!アイツらにばっかイイ面、すっから…!!」

胸ぐらを掴みながら悔しげに言い放ち、唇を噛んで俯くコイツを、誰が可愛くねェだなんて思うだろうか。

ふ、と堪らず緩んだ口角が見えたからか、このバカで可愛い駄犬は、照れ隠しからか苛立ちげに、言い捨てる。

「テメェが好きなんだよ、バカ野郎!!」

ワリィか!!と耳だけを赤らめて俯く駄犬が、可愛くて仕方なくて。

「クク、―…バーカ。」

素直に言わねェだけで、好きだなんてなんで気づかねェんだか、このバカは。

一人でさぞ、グルグル悩んでいたのだろう。

―バカな子ほど、可愛い。

たく、…ンなことほざいた奴に同感してやんぜ、―バーカ!

沈みかける夕陽に照らされる顔を無理矢理あげさせ、嫌がる唇を噛みつくように、塞ぎこんだ。


――

ケンカップル…?
闇ちゃんリクの、「俺様×男前」です(*´ω`)
書かせてくれてありがと!でも!…沿ってなくてゴメンなさい・゜・(つД`)・゜・←

2013/08/29(Thu) 16:30  コメント(0)

◆SS/君は、ぼくの手のなかに 

*幼なじみ
*ヘタレチャラ男×男前
*攻め視点
*微シリアス→甘



肌を焦がす日射しがサンサンと照りつける、夏。
炎天下に晒された木製のベンチは熱く、触れる肌をジリジリと焦がしていく。

伏せたはずの視界に飛び込む小さな水滴に、渇いた何かが音を立てた。

「―なあ」

ギシ、と古びた木製の板が音を立てる。
これが、ベッドならどれ程嬉しいことだろう。
ぼんやりと、暑さと背きたい現実に霞む脳内で、そう思った。

青い缶に小さく口づけ、ゴクン、と音を立てながら隆起する喉仏に、小さな水滴が美しく滑る。

ジリジリとけたたましく鳴る声は、自分の黒い感情かそれとも、蝉の最期の祈りか。

どちらにせよ、告げられる言葉は、わかってる。
俺らの「幼なじみ」という、唯一あった関係が、崩れることも。

「同姓を好きになったんだけどよ、…どうしたら、いい?」

思いの外告げられたそれは、自分にとって衝撃的な、わけで。
軽く流そうと、無理矢理あげた口角が、下がってしまう。

わかっていた、隣にいる彼が「誰か」を好きだったということは。
「幼なじみ」という特権があっても、教えてもらえなかった、彼の本音。
頼りにしてほしかった反面、知るのが怖くて、触れられなかった、一線。
俺の知らない顔を、させている相手が同じ男だなんて、考えもしなかった。
結局、俺は彼のことを何もわかっちゃいない。

わかってる、ここで彼の背中を押したら、「幼なじみ」という関係は古びた木のように簡単に折れてしまうことを。

それでも、それでも、俺は。

「異性同士でも「女だから」「男だから」って、性別を理由に人を好きになるわけじゃない。だから、同姓でもおかしくない。だから、…素直に伝えて、いいんじゃ、ないかな?」

誰よりも大好きな君の笑顔が見たいから、誰よりも大好きな君の手を自分から、手離すよ。

無理矢理あげた口角に隠した本音に、どうか気づかないで。

ジリジリと、心が、身体が、照りつける日射しに、焦がされる。
とめどなく溢れる汗は、暑さのせいにして。

ふ、と笑った彼に俺は、心から…よかった、と言い聞かせるように、笑って。

視界に影がさして、瞬きさえも忘れてしまう、その瞬間。

触れた、自分とは違う濡れた唇は、サイダーの味がして。

「好きだぜ、」

顔をあげて飛び込んだ、眩しい笑顔を浮かべる彼を、この手いっぱいに、抱き締めた。

愛しい、君は

―ぼくの、手のなかに。


――

男前受けのSS!
こんな攻めも、大好きです(*´ω`)

2013/08/28(Wed) 14:21  コメント(0)

◆笑顔で、殺して。By 黒葉 

震えもしない、自分とよく似た色合いの無機質な携帯を、ギュッと握りしめる。
連絡は、ない。
いつから来てないんだろう?
いつから会えてないんだろう?
いつから声を聞いてないんだろう?
いつから、
…携帯は鳴らなくなったのだろう。

そんならしくもない女々しい思考が、頭をグルグルと掻き回す。
情けない、と自嘲ばかりが、溢れて。
分かってるんだ。と、笑顔で気持ちを押し殺す。

忙しいんだ、って。
浮気なんかしてない、って信じてる、分かってる。
それでも、寂しさは深々降る雪のように静かに、積もって。

代わりに震える右手は白濁に汚れていて、自分の醜さをありありと顕していた。
ティッシュでそれを拭い、ゴミ箱に、投げ捨てる。
まだゴミ箱の中身は少ないが、こないだいっぱいになって捨てたばかりだ。
身体が、一番自分の気持ちを裏切らなかった。
浮気は嫌いだから、俺は一切してない。
だから、ゴミ箱にティッシュばかりが溜まって。

食べるのはメンドイと投げていたが、心配性のオカン的な橙悟がいつも飯をくれて。
…死にたいわけではないから、本当に切羽詰まったら作るだろうけど。
…会いたい、寂しい、好き、愛してる。
どれもたくさん並べられない本音。
並べたなら、きっと困らせる。
分かってるから、今日も笑顔で気持ちを押し殺す。

ゴミ箱には、白濁と透明なもので濡れたティッシュだけが、溜まる。
まだ少ない。
大丈夫。
どこか、安心したように、自嘲気味にわらって。

2013/08/19(Mon) 02:21  コメント(0)

◆あすにゃんとゆうにゃんのにゃんにゃん談義! 

※未成年キャラがお酒飲んでますが、真似しないで下さい!
※長文
※闇ちゃん、わざわざ聞いてごめんない、そして書かせてくれてありがとう←
※R指定有り。背後注意
※にゃんにゃん注意←































月が眠り、まだ太陽が輝いている、時刻。
穂積飛鳥と赤羽夕舞は、夕舞宅に届いた酒を上機嫌に開けていた。

そして、酒瓶とアルミ缶が次々となくなり、彼らが酒により気分が揚々とする頃には、すでに月が目を覚まし、代わりに太陽が眠っていた。

「だーかーらー、俺の徹のが可愛いっつってんだよっ」

バンバン、と机を叩きながら頬を赤らめ剥れているのは、普段はツンとしている飛鳥だ。
そんな飛鳥に、頬を赤らめながら負けじと、少年が噛みつく。

「るせー!俺の慎一のがわんこで可愛いに決まってるだろっ!」

バンバン、と机を叩きながら噛みつく少年、夕舞はこれまた頬を膨らませる。
酒に酔った彼らは、口調はそのままだが、既に普段の様子とはかけ離れている。

「るせー!徹のがネコに慣れてない感が可愛いんにゃ…ん、にゃ?」

「それは慎一も同じにゃ…ん、に?」

二人が言い争うも、思わず動きを止めてしまう。
ゆっくり視線を見れば、互いの瞳に、向かい合わせに見つめているものの尻には尻尾が、頭には三角形の耳が生えていたからだ。

「んにゃ…?なんでにゃ…?」

「まさかこの酒…筧にゃ!アイツ以外あり得ないにゃんっ!」

わけがわからないと、首を傾ける飛鳥を他所に、尻尾をびったんびったん打ち付けながら、夕舞は酒瓶を見て悔しげに溢す。

自分の家に届いた酒が入っていた箱には、宅配便を届けに来た奴が言った通り、送り主の名前が書いていなかったからだ。

「これ、治るにゃ…?」

非現実的なことが起き、酒による精神の不安定さもあるからだろう、飛鳥の赤い瞳がうる、と潤む。

見たこともないしおらしい様子に、思わず夕舞も尻尾を垂らしてしまう。

「た…多分大丈夫…にゃ」

「ホントだにゃ?…ちゃんと確かめなくて勧めたゆーみゃにお仕置きにゃ!」

表面上の気遣いは流石に破られ、剥れた飛鳥に押し倒される。
尻尾を妖しげに振りながらも、潤んだ瞳で見下ろされ、夕舞は困惑の色を浮かべた。

「そ、それはオマエも同じ…ん、んうっ!んに、にぃいっ…!」

ちゅ、と軽く唇を吸われ固まるのも束の間、舌を絡めながらそっと尻尾を撫でられる。
酒のせいかいつもより伝わる快楽に、夕舞の目にも涙が浮かんだ。

「んに、んんっ、ふ、んん…にいっ」

「ん…、ん…んに、にぃ…っ」

負けじと睨み返しながら舌を絡め、ふさふさの藍色の尻尾を撫でれば、ビクリと飛鳥の肩が跳ねる。

深い口づけを互いに交わし、唾液が滴る頃には、すでに互いの目は蕩け、まるで発情期の猫のように艶めかしさを漂わせていた。

「んは…にゃあ…あすみゃは、恋人のどこが、好き、にゃ…?」

唇が離れれば熱い息を吐き、尻尾を左右に振りながら尋ねれば、尻尾を垂らした飛鳥が、恍惚そうに口を開く。

「変態だけどカッコいいにゃ…優しいし、一途だし…キスもエっチも上手くて、たまに意地悪なとこも全部大好きにゃ…ゆーみゃはどうなんにゃ…?」

近場にあったビデオカメラを手にし、ふにゃあと笑みながら尻尾を垂らし、幸せそうに語る飛鳥を撮影するも振られ、夕舞は目を泳がせてしまう。

その間ビデオカメラを取られてしまい、慌てて手を伸ばすも束の間、飛鳥に言い寄られてしまった。

「俺だけ言わせといてしかも撮って言わないなんてずるいにゃ!ゆーみゃも言うにゃん!」

酒により上気した赤い顔のまま、尻尾をびったんびったん打ち付けて剥れられる。
ズルズルと引き下がるも、尻尾を掴まれれば叶わなかった。
…本当は酒に酔った飛鳥だけを撮り、後日飛鳥を狼狽させようというイタズラ心から、ビデオカメラを用意したのに。
この瞬間程、自分を呪ったことはない。

夕舞は恥ずかしげに頬を紅潮させながら尻尾を垂らし、しかたなしにボソボソ言った。

「わ、わんこみたいに可愛いし、一途だしにゃ…それなのにえッちの時はカッコよくて、たまに意地悪で…でもそんなとこも、全部、全部大好きにゃ…」

なんだかんだ言って惚気たかったのだろう、最初は恥ずかしげに言うも、次第に頬を緩ませて、尻尾を揺らして幸せそうに語る。

そんな夕舞を撮った飛鳥は満足げにビデオカメラを置こうとする…も、尻尾を握られてしまった。

「ひにゃ!離せにゃ、ゆーみゃあっ、にゃあ…ゆーみゃ、酒…ここ入れたらどうなるん、にゃろ…?」

しかし、話題を逸らしながら酒瓶を撫で、己の秘孔をそろりと触る飛鳥に、夕舞は興味津々そうに尻尾をパタつかせる。

「きっと気持ちーにゃあっ、にゃ…あすみゃ、一緒ににゃろ…?」
下着を脱ぎ、四つん這いになりながら、酒で濡らした指を秘孔に挿入し、尻尾を振りながら尋ねる夕舞に煽られたのか、飛鳥はコクコクと首を縦に振る。

「にゃ…ハメ撮りしたらもっときっと気持ちいいにゃん…ゆーみゃ、一緒ににゃろ…?」

ふにゃあと笑みながら下着を脱ぎ、セットしたビデオカメラに向かって、酒に濡れた指を秘孔に挿入する飛鳥に夕舞は並ぶ。

尻尾を垂らし、指を挿入して自ら中を解す姿は、普段の彼らではあり得ないことだろう。

「ひにゃ!ふにゃぁあ…慎、一…んに…好き、にゃっ…」

「ふぁ…っ、んあ、んにぃっ…徹…好きっ…」

指を抜き差しする度に、喘ぎながら尻尾と耳が無意識に揺れる。
ホシイ、と感嘆しながら指を抜けば、栓を抜き中身が少し残った酒瓶を手に取り、秘孔に挿入した。

「ふにゃぁああ…!ゃぁっ、熱いにゃあ…!ひ、にゃうっ…にゃん、慎一…っ」

直腸に注がれる液体は熱く、溢す吐息と身体中を暑くさせる。
それは飛鳥も同じようで、嬌声を漏らしながら、尻尾を揺らした。

「ふみゃ、にゃぁあ…!暑いにゃっ…ひにゃっ、徹、徹ぅ…っ」

ぬるいままの酒瓶を掴み、上下に抜き差しすれば、注がれた酒がコポ、と秘孔から零れ落ちる。
既に互いとも、見ているのは今ここにいない愛しい恋人。

その恋人を思い描きながら、…二人は白濁の酒に溺れていった。


月もぼやける闇夜の中、クスクスと誰かが楽しげに、笑うのだった。


――

わあああ、闇ちゃん!
書かせてくれてありがとうっ!!
エロでごめry…←

2013/08/13(Tue) 17:23  コメント(2)

◆橙悟※橙悟の片思い相手の、受けの喘ぎ注意 

俺が密かに想いを寄せているアイツに、ここ最近違和感を感じる。

それは、最近アイツの心からの笑顔を見かけないということだ。
だがそれを指摘すれば、絶対にアイツは誤魔化す。
人当たりのいい笑顔で、心配かけてごめんな、と。
大丈夫だから、と。
アイツは、優しい。
アイツは、明るい。
…けれど、臆病なのも知っている。
人に、必要以上に踏み込まれるのを嫌いなことも。
これらはあくまで臆測だから、俺の今の対応がアイツにとって正しいかなんて、分からない。

昨日までの3日間、オタクなアイツは毎年行われる大好きなイベントに行っていた。
毎年とてつもなく嬉しそうで、そんな笑顔を見ているのが大好きで。
けれど、…やはり笑顔に影が注していたのだ。

小さく息を吐き、昼飯を作ろうかと立ち上がるついでに、アイツに声をかけようとするも、扉前で立ち尽くして、しまう。

「っ、ひあ…んあっ…、っひ、…お…っ」

涙声で喘ぎながら、恋人の名を呼んでいる、アイツの、嬌声。
―アイツが、落ち込んでいる理由なんて、知っていた。
恋人に暫く会えなくて寂しいから、と。
だからといって、俺が代わりになることはできない。
例え代わりに抱いたとしても、互いに傷つくだけと知っているからだ。

それに、アイツ自身、恋人の代わりになんてしたくないだろう。
俺だって、嫌だ。
好きでもない相手を、好きな奴の代わりに、抱くなんて。
そう思考を巡らせれば、ズキリと胸が痛んだ。
傷口に塩を塗ったようなものだ。

好き、好き、と。
俺に言って欲しかった言葉を、今この場にいない恋人に言い、嬌声を漏らしている。
意地っ張りなアイツのことだろう、恋人に「寂しい」なんて言えないはずで。
だけど、募る想いと燻る身体を抑えきれない。
俺が恋人だったらと、思ってしまう俺は、醜いんだろうな。

自嘲を漏らしながら、踵を、返す。
アイツの笑顔が好きだ。
だから、強姦をしたいとも思わない。
けれど、実際あの姿を目の当たりにしたら、堪らなく胸が締め付けられる。
本当に俺は、不毛な恋を、している。
同じアイツを好きだったルームメイトらは、少しずつ変化している。
兄の橙利は、既に想い人がいる。
紅伽は、既に恋人がいる。
桃哉も、既に恋人がいる。
衣墨は、気になる相手がいるらしい。
俺は。
…何も変われていない。
あの時のまま、アイツが、好きで。
報われない恋と、分かっているのにな。
それでも、好きなものは好きなのだから、仕方がないのだけれど。

代わりになることが出来ないなら、唯一俺はアイツを笑顔にすることができる方法で、アイツを幸せにしてやりたい。
だから、…後少し、ほんの少し経ったら昼飯をつくって、アイツに届けてやるか。
唇を弧に描くも、頬を伝う何かに、唇が、歪む。

「…愛してる、黒葉」

伝えられない、叶いもしない想いを、そっと、扉を見て、呟いた。

2013/08/13(Tue) 15:08  コメント(0)

◆架 

閉じていた瞼を開けば、隣には寝息を立てて眠る、大好きで仕方がない奴がいた。
あまりにもの近さと、安心しきっている自分にビックリし、思わず目を瞬いてしまう。
しかしそれは「嬉しい」驚きで、自然と頬が緩んでいった。

「…」

ただジッと見つめ、頬に手を滑らせる。

自責して引きこもっていたからだろう、久々に触れた熱はいつもより冷たく感じ、綺麗な黒髪も少し無造作に伸びてしまっていた。

…オマエが悪いわけじゃ、ねぇのに。
あまりにもの優しさと、愛しさと、罪悪感に胸がキュウ、と締め付けられる。

当分前に、ヤり捨てされて、悲しかったのと同時に、ひどく悔しかった思いを抱いたのは嘘じゃない。
暫くしてから会ったアイツは、知らん顔して恋人を傍に置いて、…幸せそうに笑っていたんだ。

そこで、俺も諦めればよかったんだ。
仕方ない、って。
「そんな奴だから」って。
…それなのに、俺は諦めきれなくて、必死に訴えて。
好きじゃない、って言われたなら諦められたと思う。
…けれどアイツは「好きだ」と言ったんだ。
―…それが嘘だなんて、気休めなんて、わかってた。
それでも、…ヤり捨てなら冷たくあしらうはずなのに、俺に嘘をついた。
…それ程の「何か」があると思ったんだ。
…だから、…信じたかった。

それからは、離れては引っ付いて、まるで磁石のように、引き合って。
紆余曲折あった今、俺は、誰よりも大好きな奴にそっと笑みを溢す。

「―大好きだ」

手繰り寄せたのは俺だけど、引き寄せたのはオマエなんだから。
…嫌でも引きずってやる、俺が覚悟をしたんだ。
だから、

「―俺も、…離さねーかんな…」

優しい黒髪を撫で、無防備に晒された額に口づけを落とす。

蒼穹の目を細めて覗いた世界は、日だまりのように温かく、キラキラと輝いていた―。

2013/07/25(Thu) 01:08  コメント(0)

◆橙利2 

from +++++++++++++.jp
to ********.jp
本文:
誰だかしんねぇが、お前は本気だよな。
本気なら、渚を救ってくれ。
俺じゃ、ダメなんだ。


―やっぱり。

震えた、自分と同じ髪色の携帯を開いて、小さく息を吐いた。
嘘なのは分かっていたけれど、正直な話、ショックだ。
けれど、人を信用するのが大変なんて、多少なりともわかってはいる。
だから、嫌悪感なんてなかった。

そして、この本当のメアドの人物は少なくとも、渚が大切だ。
恋敵かもしれない、けれど、この文面だけど、渚がどのくらい大切かが、少しは手に取れる。
見ず知らずな相手に、こうして頼むくらいだ。
相当大切で、そして本当に渚が負うものは辛いことなのだろう。

俺が、救えるかなんて、わからない。
けれど、救いたいと思うし、救える為なら、自分が出来る限りのことを尽くしたいと思う。
きっと、このメールに付いているアドレスは渚本人のもの。
人を信用するのが好きじゃなく、嘘をついた渚のことだ、アドレスを送付したことは許可を得ていないだろう。
―渚の嫌がることはしたくない。
それは、本心だ。
けれど、それが口から出ないだけで、本当は嫌じゃないのかもしれない。
「救われなどしない」なら、「いっそ最初から願わない。」…そう、思ってるんじゃないんだろうか?

心の奥底に宿っている祈りを、諦めで塞いでいるだけなのではないか?

99%有り得ない闇だとしても、有り得る1%の光に俺は賭けたい。

俺は、渚がすきだ。
誰よりも、大好きで、愛してる。
急いてなんていない、ゆっくりでいい。
渚が俺を振り向く?
…違う、惚れさせる云々じゃなくて、好きならまず相手の幸せを考えるべきだろ。

拒絶しても、掴まえてやる。
俺に見せた、ほんの少しの「本当」を、俺は信じたい。

送付されているアドレスをクリックし、メールを作成すれば、メールを送信した。

『渚へ。このアドは渚のだろ?…俺を信じろなんて、簡単に言えねーし言わないけど、俺は渚に信じてもらえるまで、渚が嫌って言っても渚につきまとうかんなっ(≧∀≦) 渚大好きだよ、ぜってー落としてやっから、覚悟しとけっ』

2013/07/20(Sat) 22:35  コメント(0)

◆橙利 

愛しい渚(←)に久々に会えて、テンションが最高潮な中、俺は帯電荘のリビングで一人ニヤついていた。
髪色と同じ携帯を開き、愛しい人物をマジマジと眺めれば、自然に頬が緩む。

あんなにツンツンというか、無関心そうだったのに、甘い雰囲気に慣れてなくデレた時の様子は、ひどく心を擽った。
いや、だって可愛すぎるだろ、あれ!

デレデレと頬を緩ませながら、瞬時に暗記し写したメアドも見て、一人ニヤつく。
しかし、何故かこのメアドは渚のものではない気がするのだ。
書いてるか書いてないか等、嘘八百。
瞬時に暗記する為に見せてもらい、メアドと写真両方をもらう為であって。
…しかし、ゲットしたメアドは別のモノな気がする。
あの渚が、そうそう簡単に個人情報を流すとは思えないのだ。

…ちょっと、まだ信用されてないのかーなんて、悲しくなるけど。
でも、人を信用しなさそうな渚が、俺の渚への気持ちを信じてくれたくらいだ。
…まだまだこれから、だよな。

頬を緩めながら『橙利だよー♪渚かな?違う人ならゴメンっちょ☆言っとくけど、渚は俺の未来の恋人だから、手出すなよーっ』とメールを打ち込み、送信すれば視界に影がかかった。

「何ニヤニヤしてるんだよ橙利ー、…もしかしてあの人のメアドゲットしたとかかっ?」

以前まで、恋愛的に愛しくて仕方がなかった、ルームメイトの黒葉だ。

漆黒の髪に、黄緑色のメッシュ。輝く黄緑色の瞳と、男前なのに可愛くて照れ屋で、それなのに優しくて、大好きだった。

今でも大好きなのは本当で、黒葉を見る度に嬉しくなる。
けれど、恋愛的な胸の高鳴りは既にない。
人として大好きであって、恋愛的に好きなわけではなくなったのだ。

黒葉に恋人が出来たから、黒葉を忘れる為に渚を好きになったわけでは、断じてない。
本当に、キッパリすんなり、自分でも驚く程に、黒葉への想いはなくなり、渚のことをいつの間にか黒葉を想っていた時のように、ずっと考えていたのだ。

黒葉は、人として大好き。
けど、渚は恋愛的にも、黒葉以上に、大好き。

目を輝かせながら尋ねてきた「ルームメイト」に、俺は一つ、ニンマリと笑った。

「うん。俺が大好きな、未来の恋人っ!」

どうか、あのメールが本物でありますように。
出来れば、渚が俺に振り向いてくれますように。

たくさんの願いを、未だに飾ってある短冊に願い、熱を持つ携帯を握り締めた。

2013/07/20(Sat) 16:23  コメント(0)

◆All are applied in 10 minutes:夕舞 

炎天下の日射しに照らされる、所々が千切れ、古びている白い糸に、茶色の球体が吸い込まれる。
ダン、と小さな音を立てて地についたそれに近寄り、汗の滲む掌で掴みあげた。

「…楽しい」

自然に緩む口元のまま、腕に抱くそれにそっと口づける。
久々の、バスケ。
あくまで一人シュートをするという、練習の一環に過ぎないが。
それでも、ボールに触れリングに向かって放物線を描き、ネットにボールを運んで―…。
サク、と心地よい音がする度に心が踊る。

アイツが試合に勝ったら、後半の中でもラスト10分だけ、アイツと闘える。
その10分に全てをかけて…俺は今、白い糸にボールを運ぶ。

久々に会ったアイツは、どこか「焦っている」ようだった。
俺に会う前に筧になんか吹き込まれたからだろう、俺を抱く時も何処か悔しげで、もどかしそうに…急いていて。
理由を聞いた所、俺と同じ学校で毎日俺といられるのが、悔しいらしい。

―俺も同じだっつーのに。
毎日会えない辛さを、痛いくらい感じている。
…口には出さないけど、な。
特に、このストリートバスケをしている時は、余計に寂しさが募る。
初めてアイツと出会い、バスケをした、場所。
思い入れが強すぎて、毎度アイツの笑顔や声、そして自分を抱いている時の男らしさが、浮かぶのだ。

「…何、考えてンだか…」

チキショウ、ただでさえ熱いのに、さらに熱くなっちまったじゃねェか。
玉のように浮かぶ汗を服の裾で拭い、首を左右に強く振る。

ふと見上げた太陽は、まるでアイツみたいで、自然に口角が緩んだ。

アイツが俺の敵討ちをし、俺との試合をする、10分。
それに全てをかけて、俺は。

「待ってろよ。…慎一」

今も地に茶色の球体を打ち付けているであろう恋人に呟き、想いを届けるように、茶色い球体を打ち付けた。

2013/07/20(Sat) 14:38  コメント(0)

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