〜Novels〜[RYO]

□連続首切り魔
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 私は仕事を終え、薄暗い路地を歩いて帰宅していた。時計をみると11時30分、私の住んでいる町はシンシティ、人口およそ2万人の小さな町だ。
 治安はそれほど良くない。真夜中になると、銃声や悲鳴が飛びかっていた! いつもなら6時には帰宅しているはずが、今日は残業の為、こんな時間になっていた。通い慣れている道なのに、雰囲気が全く違う。外灯も少ない事に気が付いた!
 と、その時…

「キャ〜」

 ん? 若い女性が私の方へ駆け寄って来た!

「交差点の角に、首が無い死体が…!」

 そ、そんな、まさか? 数分前に通って来た道! 一歩間違えば、私が犠牲になっていたかも知れない…まだ犯人が近くに居るかも分からない!
 彼女を連れ、足早に自宅へと急いだ。

「助けて頂き有難うございます! 私の名前はアスカです、貴方のお名前は?」
「私はクリスです。御無事で何よりです」

 家に着き落ち着いたのか。アスカには怯えた様子は無い…至って冷静だった。私は実際に見た訳じゃないが、首の無い死体なんて、想像しただけで震えがくる!

「こんな夜中に、何故一人で歩いてたのですか?」
「彼氏に会いに家を出たのです、その途中で…」

 しかし、こんな夜中に彼氏が彼女を呼ぶだろうか? …私は、大事な事を忘れていた! 警察に連絡しなければ! 受話器を取ろうとした時、アスカは

「掛けないで!」

 アスカが第一発見者だ、確かに警察に色々聞かれるだろう…気持ちは分かるが、通報しない訳には…。
 ん?何やら外が騒がしい、パトカーが数台停まっていた! おそらく誰かが通報したのだろうか? アスカは、呆然と窓の外を眺めていた。

「落ち着いたら家まで送りますね」
「はい!」

 時計を見るとAM1:20分、外は静けさを取り戻していた。アスカは黙ったままだった。

「帰りますか?」
「居たら迷惑ですか?」

 確かに、首の無い遺体を見た直後で動揺してるに違いない!

「彼氏が心配しているはず! 連絡した方が…電話掛けますか?」
「はい!」

 アスカは受話器を取り電話を掛け始めた。暫らくすると、その声が荒々しくなっている。喧嘩? 検索する必要は無いが、少し心配になってきた。

「彼氏が迎えに来ても良いですか?」

 ここに彼氏が? でも、それが適切な判断かも知れない。
 それから直ぐ、ピンポン! と玄関のチャイムが鳴った。随分と近い距離なのか? 私は玄関に向かい、

「どちら様ですか?」
「初めまして名前はカーターと言います、アスカを迎えに来ました!」

 やはり彼氏だった。電話でどこまで彼女は、私の事とここに居る理由を話したか分からないが、

「私はクリスです! 事情はご存じですか?」

 カーターは軽く頷き、気まずい表情で、

「アスカ、帰るぞ!」

 アスカの手を取った。

「有難うございました!」

 丁寧な口調で、私にお礼を言って頭を下げ、彼氏と共に出て行った。しかし、私は電話での会話が気になっていた…。
 なぜ電話で喧嘩したのか。嫉妬? それに、首無し死体…?
 私は、実際に見た訳じゃ無い…色々考えながら、いつの間にか寝ていた。時計を見たらAM8:30分だった。今日は仕事が非番で、友達のロイが遊びに来る予定だ。その前に、昨日の事が気になっていた私は、テレビのスイッチを入れた!

『昨夜PM11:30分頃、シンシティの交差点付近で、男の首無し遺体が発見されました…警察は殺人事件と断定し、調査を開始しました。尚、頭部はまだ発見されていません』

 本当だったのか…だとすると、犯人はアスカを見た可能性が高い! 狙われる? やはり警察に届けるべきだった!
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