KA′book

□your heart
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あぁ…いつからだろう。

こんなにも、君のことを考えるようになったのは……。













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季節は冬。
ここは、黒の教団本部のある一室。

白髪の髪を、開けた窓から入り込む風になびかせ、少年はただぼっーと寒々とした外の世界に見入っていた。



辺り一面雪世界。
ただ続く白に、少年は寒さも忘れ、入り込む冷たい風にそっと瞳を閉じた。




瞳を閉じて、思い出すのは彼のこと──。

ただ切なくなって、ギュッと拳を握り締める。



「本当……僕も女々しくなっちゃったよね……。ねぇ、ティム?」


風で目が乾いたせいか、それとも彼を思い出して切なくなったせいか…。

瞳にうっすらと滲む涙を、手の甲でゴシゴシと拭きながら、自身のゴーレムに問う。



少々心配そうに、頭の上をくるくると旋回した後、再び少年の白髪の上に戻る。




くすっと笑い、そっと頭の上に陣取るゴーレムに触れる。




「ふふっ大丈夫だよ、ティム?」



──だって僕は……──





その次の言葉を、少し躊躇いながら…。






「僕は…一人でも、大丈夫……だから…」








それはそれは、とても優しい口調で。

だけど、すごく寂しげに…。





小さく、紡いだ……───。
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