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□ひとひらの願い
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総司side
僕の中にある大切な記憶。大好きな君と過ごした日々。早く、君に会いたい。
僕には、幕末の時代に新選組として生きた記憶…いや、前世がある。
「なあ、総司。…聞いてる?」
「ごめん、ちょっと考え事」
中学の時に出会った、っていうか再会した平助は記憶がない。
「総司が考え事とは、珍しいな…」
「それ、酷くない…?」
昔から変わらず堅物な一君。高校になって再会したけど、彼にも記憶がないみたいで…。
高校に入ると、いろんな人と再会した。古典教師の土方さん、変態保体教師の左之さん、相変わらず熱血な新八さん、それに、大好きな近藤さん。
この中で記憶を持っていたのは土方さんだけ。まあ、それだけが救いだった。土方さんに出会わなければ、新選組の一員だったこと、あの子に出会って、夫婦になったこと…あの時代の出来事すべてが、ただの夢になってしまっていたから。
「総司、入学式見てく?」
「…平助は?」
「俺は幼馴染が出てるから見てくけど」
「ならば俺も見ていこう」
「じゃ、僕も暇つぶしに…」
軽い気持ちで、この薄桜学園の入学式を見学することにした。
これが、僕らの運命の始まりだった。