短編
□愛には愛でしょ
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「そろそろタクシーくるから出るね」
「…うん」
「じゃ、風邪引かないように」
「ありがとう、みやもね」
「ん」
帰る支度を済ませて上着を羽織る。
時計を見ると、終電が過ぎてから何時間か経過していた。
明日の仕事に絶対響くなぁ…
ベッドに座るももをチラッと盗み見た。
「…なにその顔」
「んーん、なんでもない」
「あっそ。じゃあね」
「みや」
「なに」
「…またきてね」
少し寂しそうに言うもも。
…人の気も知らないでよくそんなことが言えたもんだ。
「バカ、当たり前じゃん」
口には出せない代わりに、好きだよの気持ちを腕に込めて抱きしめた。
抱きしめ返してくれるももの腕の感触が優しくて、少し泣きそうになったのは内緒。
end.