短編

□ひとりじめ
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ーその夜


「もも、お皿洗い終わった」

「ありがとね、みや。ほら、ここ座って」


一緒にご飯を作って食べ、みやがお皿を洗ってくれた。

ももはまったりテレビを見てる。


「みやぁ、どうしたの?」

「なにが?」

「なんかね、みや今日いつもと違うと思って」

「…」



『はぁーい!みんなのアイドル、今日も可愛いBerryz工房のももちこと嗣永桃子でーす』


ちょうど番組にももが映った。

なんかみやに見られるの、恥ずかしいなぁ。

みやをちらっと見ると、とても寂しそうな顔でテレビの中のももを見ていた。


「…みや?」

「…なんでももはこんなに…」

「ん?なぁに?」

「なんでももはこんなに人気者なの?」

「え?どゆこと??」

「みやだってももともっと一緒にいたいもん…」


みやが涙目、涙声で言う。

ももは予想外のことでなにがなんだか…

隣のみやの手をそっと握ると、みやも握り返してくれた。


「みや、不安にさせてごめんね?」

「…やだ。ももはみやだけのものでしょ?」

「みやぁ、なに当たり前のこと言ってんの」


いつにも増して聞き分けのないみやに、ドキドキする。

ももと少し会わなかっただけでこんなになっちゃうみやが愛しい。


「もも、もっと安心させて」

「…ん」


伏し目がちに言うみやに、察して顔を近づける。

ちゅっ、て軽いキスだけのはずだったのに、みやが少し深めに口づけてくる。


「…ん、ぅ」

「っ、……みや………」


お互いの吐息混じりの声が部屋に響く。

テレビの中の「ももち」がなにかを喋る。

自分のことなのになにを言ったかなんか覚えてない、どうでもいい。

目の前のみやに夢中になっていく自分が分かる。

名残惜しいけど、みやから顔を離す。


「…、……みや?」

「…なぁに」


顔を離すと、少し不機嫌な顔をしたみや。


「今、みやといるのはもも。テレビに映ってるのはももち。わかる?」

「…んー」

「なぁにー、その不満そうな顔はー!」

「だってももはももじゃん…」

「全然違うよぉ、みやといるときのももは他のももとは違うもん」

「うーん…」

「とーにーかーく、ももが好きなのはみやなの。みやが好きなのは?」

「…………もも」

「ね、そういうこと。ももはみやのもので、みやはもものもの」

「…わかった……」

「ん、いいこ」


やっと分かってくれたみやの頭をよしよしするついでにまた顔を近づける。


「…ふふ、みやったら可愛いんだから……ももの次に♪」

「うっさい、バカもも」


そう言ってそっと目を閉じるみやにならって、目を閉じた。





end.
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