短編

□子供か大人か
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今日はもものお誕生日。

お誕生日イベントがあった。

ファンの人達やスタッフさん達にたくさんおめでとうを言われて上機嫌のまま、約束してたみやのお家にお邪魔した。


「ふふっ、やっぱみや、言われてるよ」

「なにを?」

「Twitterで"雅ちゃんだけももちの生誕祝ってない"って」

「あー…」


みやのベッドに肘を立てて寝転びながらエゴサーチをしてみた。

やっぱりみんな、ブログのこと言ってるなぁ。


「ふふふっ、今一緒にいるなんて思ってもないだろうなぁ」

「いや、わかんないよ。ファンの人達意外と勘鋭いから」


そういうと、みやはももの上にドカッと乗ってきた。


「みや、重いよぉ」

「ももに言われたくないし」

「もぉっ!」

「ねぇ、それよりさぁ、ももって何歳になったんだっけ?」


斜め上でみやが含み笑いを浮かべながら言う。


「忘れるなんてひどいなぁ…22歳だよ」


むーって唇を尖らせて言う。


「そっかぁ、ももはもう22歳かぁ………」

「なにぃ?本気で忘れてたの?」

「だってもも、いつまで経っても子供なんだもん」

「そ、そんなことないもん!最近大人っぽくなってきたって言われるもん」

「ふーん、どこが?」


斜め上のみやがにやにやしてるのがわかる。

失礼だなぁ、まったく。

でも、やっぱり言い返す言葉が無くて。


「ど、どこっていうのは具体的に分かんないけど」

「ほらぁー、やっぱまだまだお子ちゃまなんだよ、ももは」


みやが笑いながら言うから悔しくなって、枕に顔を埋めた。


「あら、もも怒っちゃった?子供だなぁ」

「………」

「もーもー、機嫌直して?」


ふん、もう知らない。

みやのバカ。

ももだって年上っぽくリードしたいのにいつもみやが一歩先なんだもん。


「もも?」


ふわっと身体が軽くなった。

ももの上にのしかかっていたみやが起き上がったからだ。


「…もも、ごめんね?」

「知らない。みーやんのバカ」

「もう、可愛いなぁ。ほらこっちきな」


枕に顔を埋めたまま返事をすると強引にベッドに座るみやのお膝の上に座らされた。

…やっぱり子供扱い。


「ふふ…そんな顔しないの。自慢の可愛いお顔が台無しじゃん」

「…そうやってバカにするみやなんてもう知らない」


もも、多分今すっごく嫌な顔してる。

顔を見られないようにみやの首に腕を巻き付けて密着した。

…ほんとはくっつきたかっただけだけど。

応えるように、みやもももの背中に腕を回してくれる。


「もも、ももって実は大人っぽいよ」

「そういう慰めはいいですぅ」

「いやいや、ほんとだってば」

「…嘘だもん」

「そりゃ確かに普段は子供っぽいし色気なんてゼロだけど」

「…ひどい」

「…でもさ、みやだけは知ってんじゃん」

「なにを?」

「ももの色っぽいとこ」


心当たりがあるから一気に顔に熱が集まる。


「みやのバカ、デリカシーない」

「そうかなぁ?今もちょっと声えろいよ」

「もう!全然そんなんじゃないもん!!」

「はいはい…まあつまりね?ももが大人だってことはみやだけが知ってるからいいの」

「なにそれー」

「みやは、ももがみんなの前で子供っぽくて安心してる」

「また子供っぽいって言った」

「…ね、今から大人っぽいことする?」

「………………する」


小さな声で言うと、みやは声を出して笑った。

ムッとしたけどこれからのことへの期待の方が大きくて。

少し腕を緩めてみやの顔を見ると、とても幸せそうに笑ってた。


「もも、誕生日おめでとう」

「…ありがとう、みや」


目を細めて笑いながら、そっとキスをしてくれるみや。

どっちがお姉さんか分かんないなぁ、なんて思いながらみやのキスを受け入れた。







end.

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