短編

□おしり
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ある晴れた日、楽屋に続く廊下を歩くと、目の前にまあの大好きなおしr……大好きな後ろ姿が見えた。

そーっと急ぎ足で近づく。

おしりに手を伸ばそうとすると…


「茉麻、やめな」


バレてたか。さすがみやだなぁ。

後ろを振り向いたみやは、当然ながらあきれ顔だった。


「みやってこういうときの勘鋭いよね」

「てかなんでいつもおしり触ろうとするの」

「いや、だってみやのおしり最高だもん」

「それは光栄だわ。だけどさ、それただの変態だよ」


言われなくても分かってる。

だけどおしり触るのはやめられない。


「いいんだ、それでも。まあはみやのおしりが触れれば満足」

「…他の人のおしりも触ってるくせに」


正直ドキッとした。

みやがモテる理由はここなんだと思う。

やきもちみたいな言い方されたら誰だって惚れちゃいそうになる。


「え、みやだけに絞った方がいい?」

「そーいうんじゃなくって…」

「じゃあどういうこと?」

「てか茉麻のおしりはどうなの」

「いやいや、自分で自分のおしり触る人なんていないよ」


ははっと笑うと、みやが一瞬悪戯に笑った。


「ふーん……」

「え、なに?」


問いに答えることもなく、みやが素早く手を伸ばす。

完全に気を抜いていたまあはいとも簡単におしりを触られてしまった。


「ふふっ、茉麻もなかなかいいおしりだよ」

「あ、りがと…」


いつも触る側だったから、予想外のことに身体が強ばる。


「ばーか、なに意識してんの。らしくないぞ」


みやに笑いながらバシッと肩を叩かれた。


「い、いや、びっくりしただけ」

「触られる側はいつもこんな気持ちなんですー」

「ご、ごめん」


素直に謝るとまたみやに笑われた。

そして、また予想外の出来事。

みやがまあの手首を引っ張って自らみやのおしりに持っていく。


「ほら、みやのも触っていいから。これでお互い様」

「お、おう」


ふわっと控えめに触ると、みやが吹き出した。


「ぶはっ!なにその触り方、いやらしいよ茉麻」

「えー!控えめにしただけなのに」

「みやだけにしかしちゃだめだよ、その触り方」


またドキッとした。

多分、みやが言いたいのは「他の人にしたら気持ち悪がられる」っていう意味だろうけど。


「なに、固まって」

「いや、おしりだけじゃないんだなって思って」

「なにが?」

「みやの魅力」

「なにそれ、いまさら?てかおしりしか見てなかったの?」


むっとした表情をするみや。

まあの心臓は余計に高鳴って。


「あれ、みやと茉麻。こんな廊下の真ん中でどしたの」


後ろを見ると、千奈美が立っていた。


「あー、ただの雑談。楽屋行こっか」


みやは、まあの手首をそっと離した。

と思ったら、今度はまあの手を掴む。


「茉麻、今まで通りでいいからね?」

「わかった」


手を握り返しながら言う。


「今日はなんだか仲いいね、二人とも」

「はぁ?いつも仲いいしー」

「そうだっけ?」


手を引っ張りながらみやが応えた。


「ふふっ、茉麻ね、みやのおしり大好きなんだよー」


こらこら、広めるんじゃない。

そう思いながらも顔はにやけちゃうわけで。

どうやらまあは、おしり以外のみやの魅力に気づいちゃったみたいです。




end.

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