短編

□きれいなせなか
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「きれいだなぁ」

「ん、なに?」


あ、声に出しちゃってたか。

完全に無意識だった。

ゴールデンチャイナタウンの衣装でイベントが行われる会場の衣装室。

メンバーのみんなはみやともも以外、すでに楽屋入りしている。


「いやぁ、みやの背中ってほんときれいだと思って」

「はぁ?そんなことないでしょ」


お、照れてる照れてる、可愛いなぁ。

でも、ほんとにきれいだと思う。


「その衣装、背中まるみえだね」

「そうかな?こういう衣装多いから意識してなかった」

「ね、もっとこっちきて見せて?」

「は?いやに決まってんじゃん」

「なんでー?いいじゃーん」

「やめてやめて」


ぐいっと引っ張って椅子に座り、無理やり膝に乗せる。

目の前にはみやのきれいな背中。


「もも、重いんだから降ろして」

「だぁめ」

「ばっかじゃないの…」


みやは諦めたのか、ももに体重を預けて静かになった。

そんなみやが愛おしくて、腰に腕を巻き付ける。


「んー、みやの背中すべすべぇ」

「頬ずりしないで」

「やめらんなぁい」

「ほんと鬱陶しい…」


そんなこと言いながらももの腕に手を添えてくるみや。

ついでにみやの柔らかい太ももも当たってる。

露出の多い衣装だってことを実感して少しヤキモチ妬いちゃう。

ヤキモチと同時に、イタズラ心も芽生える。


「…もも、ちょっと!?やめてよ…!」


異変に気づいたみたい。でも、やめてあげない。

背中にキスを落とすももに焦るみや。


「ほんと跡はつけないでよ!?」


キス自体はいいんだ…っていうツッコミは飲み込んで、背中を少し強く吸った。


「あっ…!もも、やめて…!」


ちょっと甘い声で抵抗するみや。

ちゅぅっ、と音をさせて唇を離す。

うん、くっきり。


「ばっっかじゃないの!?ばかもも!!ばか!」


耳まで真っ赤なみやに怒られる。


「だってぇ、こんな綺麗な背中みんなに見られるって思ったらさぁ…」

「だからって…これからイベントなのに」

「ごめんね?ファンデーション塗ろっか」

「イベント始まっちゃうから早くして」


近くにあった自分のファンデーションをキスマークのある場所に塗る。


「もも」

「なぁに?」

「…次はちゃんと隠れるところにして?」

「…もう!みや可愛すぎぃ!!」

「…やっぱ禁止」

「そんなこと言ってぇ、素直じゃないんだから」

「うるさい…!」


可愛すぎる真っ赤なみやにまたキスしたい衝動を抱きしめることで抑えることにした。



一方その頃楽屋には、なかなか楽屋に来ないふたりをいつものことかと待つ他メンバーがいた。




end.

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