短編

□クリスマス
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「あ、みや起きちゃった?」

「んー・・・いま、なんじ・・・」


ダンスレッスンのあと、久々にももが泊まりにきた夜。

せっかくももの布団敷いて、寝たと思ったらももがみやのベッドに侵入してきたところで目が覚めた。

みやはまだ眠すぎてちゃんとした声が出ない。


「なに可愛い声出してんのぉ、まだ夜中の2時半だよ」


ももがみやの背中に腕をまわしてきた。


「てか・・・勝手に入ってくんな・・・」


か細い声で抵抗してもももには届かないことくらい分かってる。


「ももと寝るのいや?」

「・・・」


もう抵抗するのもめんどくさい。

仕方なくみやも向かい合ってももの背中に腕をまわす。


「みやって体だけは素直だよねぇ」

「・・・うるさい、出ていけバカもも」

「じゃー振り解けば?」


ももはずるい。

いつもみやに無理なことを言う。

そのくせ自分は恥ずかしいことを平気でしたり言ったりするんだ。


「ね、みや?今日クリスマスだよ?」


今日のダンスレッスンでクリスマスプレゼント交換したからそれくらい知ってる。

・・・多分ももが言いたいのは、個人的なプレゼントはないのかってこと。


「なに期待してんの?」

「えー!なにも用意してないの?」

「ももなんかのためにするわけないじゃん」

「ひっどーい!」


なんて嘘ついて、ほんとは数週間前からずっとクローゼットの中に眠ってるももへのプレゼント。

ももから個人的に交換しようって言われてたから仕方なく買っただけだけど。


「じゃあみや、プレゼントの代わりにももの言うことひとつ聞いて?」

「・・・なに?」


ほんとは用意してる、なんて言いづらい状況になってしまった。


「みやからちゅぅしてほしいなぁ」

「は?意味わかんないんだけど」


こんな至近距離でよくこんなこと言えるもんだ。


「だっていつもももからじゃん?たまにはしてほしいなぁ・・・」

「・・・・・・」

「なんで黙るの!ほらぁ、はやく!」


目を閉じて待ってるもも。

―プレゼントは用意してる。

そう言えばきっと自分からこんなことしなくて済むはず。



でも。



それでもやっぱり。




たまにはいいかなぁ、なんて思ってしまう自分もいる。

考えるより早く、ももに近づく自分の唇。


「もも、・・・・・・・・・・・・好き」


少しだけ間を置き、口角が上がるもも。

それを見届けて、唇を重ねた。






end.


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