氷のように

□明かされる真実
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「兄様!?」

「はいぃぃ!?」

驚愕の声に驚愕の声が後を継いだ。

「遅かったね炬昼。君達も。」
柔和な笑みをそのままに、炬昼の兄なる人物は彼らを順々に見やる。

至って普通の妖怪に見える。
黄金(こがね)色の髪も、蛍光色の目も、穏やかな風貌も、総てが炬昼の生き写しだ。

穏やかで、何処か軽快な口調は親近感を持たせ、次第に蔵馬の警戒心を解していった。

「えっ?でも待って?どうして兄様が此処に?何で二人を知って…!?」

混乱している炬昼の肩に手を置き、彼は更ににっこりと笑った。

「とにかく落ち着いて、中でゆっくり話そうな?」

呆然としている炬昼の手をとり部屋の中へ誘導し、未だにその場に足を縫い止めている蔵馬・黒鵺の二人に「君達も早く」と告げる。

このまま立ち尽くしているのは時間の無駄だと結論付け、蔵馬は黒鵺の背後に周りその背を勢いよく足蹴にし部屋へ押し込めた。







「さて、炬昼に蔵馬君に黒鵺君。何から聞きたいかな?」

「はい」

「はい黒鵺君」

戯れ半分動転半分に挙手し、それに律儀に乗る炬昼兄。
「お兄さんの名前はなんですか?」

その質問に炬昼兄は、にっこり微笑み、快く答えた。

「俺は煉磨。炬昼の兄で、言霊の次期当主候補!ま、よろしくね!」

蔵馬と黒鵺は呆気に取られて炬昼の兄―煉磨―を見、そして合点がいった。

此処に入ってから感じていた違和感

いくら警戒していても
敵襲を受けなかった


誰とも遭遇しないというのは幸運だ

が、しかし…

敵の侵入を赦しているというのに、襲撃は愚か奇襲や罠の一つも装備されていなかったその状況に、蔵馬達は不審に思っていた
「さて、此処からは真剣な話。何を聞きたい?」

今までの雰囲気と打って変わり、彼の纏う雰囲気が真剣そのものになった。

「…先ず、宝は何処ですか?どうして炬昼の兄である貴方が此処に居るのですか?」

それを感じ取った蔵馬は暫し思案し、今聞かなければと思った事を聞いた。


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