氷のように

□謎の少女 脱出への道
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もうどの位歩いただろうか。
次第に二人は無言になっていった。
「……はぁ…」
ため息を吐き、最初に座り込んだのは黒鵺だ。
それを察知した蔵馬も抗議することなく一緒に座り込んだ。
「抜け出す方法もなけりゃ食うもんもない…。」
「終わりだな…。」
黒鵺の言葉に、蔵馬が全く感情の籠っていない声で絶望的な事を呟く。
「おいぃ…それ言うなよ。」
黒鵺は肩を落とし、蔵馬を睨み付ける。
蔵馬は感情の欠落した声とは裏腹に口許に手を当て何かを思案している。
なんやかんや言いながら、真剣にここから出ようと考えているのだ。
黒鵺はそんな蔵馬の邪魔にならないように口を閉ざす。
そんな時だ。
こつんこつんと足音が響く。
思考の波に揺られていた蔵馬は一気に現実に引き戻される。
二人は警戒体勢を取った。
足音は1つ。
そして遠い所で気配がもう1つ。
自分達が今居るのは大きな岩陰。
相手には自分達の姿は見えていない。
これだけ時間が経ってるのに敵と遇わなかったということは、この中はかなり広いということか。
近付く気配の妖気は弱い。
お互いどちらかだけでも簡単に倒せる位だ。

だが……

「……黒鵺、敵は一人。そいつは、妖気は弱いがかなり強力な武器などを持っている。この場合、お前ならどう対処する?」
冷や汗をかきながら、後ろに居る黒鵺に問いかける。
妖気が弱くとも、武器に長けていれば支障はあまりない。
「へへっ…決まってんだろ?」
蔵馬の問いかけに、同じく冷や汗をかいている黒鵺がにっと笑う。
その言葉を聞いて、蔵馬もにっと口端を吊り上げる。
「じゃ…行くぞ……!」
「おう……!」
二人は一斉に岩陰から飛び出した。
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