氷のように

□初めてのおつかい 危険な仕事
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あれから7年の歳月が流れた。
広々とした荒野の中でふたりの少年が向かい合っていた。
ぴんと張り詰めた空気。
一方は黒の髪を旋毛で束ね、帽子を被っている。
その帽子は前以外は千切られており、帽子の役目を果たしていない。
黒真珠の目には一点の翳りもない。
もう片方は正反対に、月灯りの様に輝いてる白銀色の髪を束ねずそのまま後ろに垂らしている。
その目は、髪とは正反対に陽の光の如き黄金の色をしている狐耳の少年。
黒の少年の足が一歩前に出した。
それを合図に、銀の少年が一気に間合いを詰めた。
「ふっ!」
気合いもろとも、渾身の力で拳を繰り出す銀の少年。
「っ…!ていっ!」

それをギリギリ腕でガードし押し退け、今度は黒の少年が回し蹴りを入れる。
「!」
体制を崩した銀の少年は、辛くもそれを避けた。
お互い攻撃しては避け、攻撃しては避けと攻防を繰り返す。

いつの間にか体術から剣術に変わり、互いに真剣で応戦していた。
その途端、銀の少年の動きが少し早くなり出した。
逆に黒の少年の息が荒くなり出す。
シュンッ!
銀の少年が素早く地面を蹴り、間合いを詰める。
キ―――ン!
硬い音が響く。
黒の少年が握っていた真剣は宙高く弾き飛ばされた。
「あ!……!」
上を見上げ、急いで前を見る。
その頃には銀の少年が真剣を降り下ろす寸前であった。
「わっわっわっ!ちょっとタンマ!!」
「でやあぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
黒の少年の言葉も無視し、銀の少年は真剣を降り下ろす。
「わあぁぁぁぁぁ!!!!!!」
どすっ!
鈍い音と共に、真剣が突き刺さる音がした。
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