氷のように

□思い 誓いはこの胸に
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―――3年後。


不気味な色をした空に、時々遠雷が鳴り響く。
森の一角で、植物を見てる少年が居た。
銀髪の、金色の目をした少年。
花弁を触ったり、匂いを嗅いだりしている。
「オーイ、銀太ァ―!」
そんな少年の名を呼んで、一羽の烏が飛んできた。
「あ、こくろ。」
『銀太』と呼ばれた少年は、烏の名を呼んだ。
「どうしたの?」
首を傾げると、鵠絽はカァカァ鳴きながら言った。
「『ソロソロ戻ッテ来イ。妖怪、活動スル時間。』、霜霙(そうえい)言ッテタ。」
「あ、もうそんなじかんか。じゃ、いこっか」
銀太は立ち上がり、烏を抱いた。

少し奥に行ったところに、小さなテントがある。
銀太はテントにると、満面の笑みで中に居た妖怪の膝に乗りに行った。
「そうえいただいまぁ!」
「おっ!お帰り銀太。」
霜霙は膝に乗った銀太の頭を、笑いながら撫でた。
銀太は生まれてこの方、霜霙や鵠絽以外の生きた妖怪と逢ったことがない。
逢ったらいけないらしい。
何故かはは自分にも解らないが、霜霙が居たら何も要らないし、霜霙が言うんだから何か訳があるのだろうと、
銀太は幼いながらも思っていた。
「今日はどんな植物を見つけて来た?」
優しく問うてみると、銀太は懐から色とりどりの植物を取り出した。
「これはカラツナと言う薬草だ。味はよろしくないが、コイツは薬草の中でも効力の強い植物だ。」
その一本を手に取り、霜霙は銀太に丁寧にどんな花かを教えてた。
「そうえいはなんでもしってるんだね」
無邪気に笑う仔狐。
霜霙はその桔梗色の目を和ませ、背をぽんぽんと叩いた。
拾ってからというもの、実の父の様に慕ってくれるその子に、自分の持ちうる知識と生きる為の伊呂波を叩き込む。

これからの為に―――
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