7番目の守り人

□ 【第6話】 意思
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「ありえない…。こんな事ってあるの…?」




【第6話】 意思




部屋の化粧台の上にリングの道具を広げ、ルイは頭を抱えていた。


手元には簡易型の炉(ろ)と、ぐにゃりと曲がってしまった小さな銀の輪っか。


そして、耐熱布の上にはまるで抵抗するかのようにかっかと炎を出す石があった。


その炎はルイの手袋を焦がし、指先に小さな水ぶくれを作った。




「こんなに石が『抵抗する』なんて…。どういう事なの…?」




ルイは焦げて真っ黒になってしまった手袋を外すと、台の上に組んだ炉の火を消した。


職人である自分が、リングの「命」である石に拒絶されたのである。


ショックだったが、ルイにはどうしようもない事態だ。


ルイは部屋の電話を取った。


国際電話の番号を頭に、イタリアのある農村の電話番号をダイヤルする。


暫くして、聞きなれた呼び出し音が聞こえた。




「今の時間だと…まだ畑かしら…。」




電話など普段はほとんど触りもしない電話の相手。


しかし意外にも、呼び出し5回でベルの音が切れた。


しわがれた老人の声が、「ciao?」と言った。




「…マスター?私よ。」


『ルイか…。お前からだと思っていたよ。』




ルイの声を聞くと、相手の声は優しくなった。


ボンゴレの名高き彫金師・タルボ。


『テクノロジア・マエストロ』と称されるルイを育てた偉大なる師匠は、電話の向こうで嬉しそうに笑った。




『3日前に電話をくれたばかりじゃないか。仕事好きのお前が珍しい事じゃな。』


「ちょっと、相談があって…。」


『ホッホッ。随分元気がないな。リングの事か?』


「マスター、あのね…」




ルイは、今までの事をタルボに話した。


エジプトの古代の墓から発見された9つの石。


雲雀はルイに、その石でリングを作る用命じた。


しかし、ルイが石をリングに加工しようとした途端、通常では考えられない異変が起きた。


石が自らが発火し、ルイの作った金属の台座を溶かしたのだ。




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