Route 66

□Episode6.アパタイト・キャッツアイ
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誰がこまどり殺したの?

「わたし」とスズメが言いました

弓と矢を使って

わたしがこまどり殺したの



Episode6.アパタイト・キャッツアイ



「…負担かけさせちまって悪かったな。」

「良いのよ。なんて事ないわ。」



不二子は次元の予想に反しかなり元気だった。

妊娠9ヶ月の不二子はもう出歩くのは辛いらしい。

だが、パソコンをいじったり電話をかけたりという事は苦ではないと言った。



「その代わり貸しよ?ジュニアが産まれたらベビーシッターは頼むわね。」

「…何でそうなるんだ。」

「あなた子供好きじゃない。」



次元は時計をチラリと見て椅子から立ち上がった。

今から帰れば夜までに家に着く。

ルパンが帰って来て引き止められる前に出るつもりだった。



「さっきも言ったが、この事はまだナナには黙っていてくれ。あいつは今…あんまり具合がよくねえんだ。」

「まあ、もしかしておめでた?」

「…残念だが違ったよ。」



屋敷を出て、次元は真っ直ぐメトロの駅に向かった。

電車の時間は30分後。

少し迷ってから、不二子にもらった連絡先を携帯電話に打ち込んだ。

呼び出し音が続く。

警戒心の強い相手なら出ないかもしれない。

そう思っていると、意外にも相手は5回目のコールで電話を取った。



『…もしもし。』

「峰不二子から番号を聞いて電話させてもらった。Mr.テッセラクト…で間違いないか?」

『次元大介君だね。不二子に聞いたよ。』



予想外に明るい反応が返ってきた。

周囲に人がいないのを確認し、要件を話した。

ナナの名前を出すと相手は少し黙った。

そして、直接会いたいと向こうから言った。



『できれば早い方が良いだろう。私は明日でも構わないよ。』

「ナナを一緒に連れて行った方がいいか?」

『いや…まずは君に会いたい。滞在しているホテルに来てくれればいつでも会おう。』



帰宅したのは暗くなってからだった。

閉店時間前だったがシャッターが降りている。

今日も店を開けていないのか。

次元は裏口に回って鍵を開けた。

ダイニングの電気だけをつけ、ナナは本を読んでいた。



「おかえり…。」

「店、開けなかったのか?」

「…午前中だけ開けたの。でも、だるくて午後からは立ってられなかった。」



ナナの顔色は相変わらず悪い。

原因不明の目眩がする状態が続いているのだ。

医者は精神的なものではないかと言った。



「飯食えるか?簡単なもんなら作ってやるぜ?」

「…ありがと。」

「呼ぶまで寝てろ。ふらついてんじゃねえか。」



この間の事が影響しているのは間違いない。

あれ以来ナナは独りで考え込んでいる事が多くなった。

あまり良くない兆候だ。

ナナらしくない。

何とかしてやりたいと思った。



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