Route 66

□Episode4.プラシオライト
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(…オレは降りるぜ。今、かわいい女房と新婚生活を満喫してんだ。)

(だったらナナちゃんのためにもしっかりお仕事して稼ぎなさいヨ。おめえさん何にもしねえと一生『ヒモ』って言われるぜ?)

(うっせえ!誰がヒモだ!)



不二子は最近、次元が盗みの仕事を億劫がるようになったと感じていた。

真面目にやりはするが、「やる気満々」の姿は久しく見ていない。

本音ではもう、この辺りが「年貢の納め時」だと思っているらしいのだ。

ルパンから声がかかる限り一味は抜けられない。

しかし、ゆくゆくはナナと穏やかな家庭を築きたいというのが希望なのだ。



「次元、言ってたわよ。本気で結婚するなら泥棒やめろってナナに言われたって。」

「あれ…マジに受け取ってたのか。」

「あら?冗談だったの?」



アタシの旦那になる気なら泥棒は引退して。

ナナはそれをからかい半分に言った。

だが、次元の心にはストレートに入ったらしい。

今はまだナナも次元とパートナーを組んで仕事をするのを楽しんでいる。

でももし、2人が将来の幸せを考えるなら…。

そんな思いが次元にはあるのだ。



「ナナに子供ができたらオレはカタギになる、ですって。あなた、愛されてるわ。」

「なるほど…だから最近子供子供って…。」

「アタシはルパンがもしそんな事言いだしたら逆に愛想を尽かしちゃうけどね。泥棒じゃないあの人なんて何の魅力もないもの。」



不二子にそう言われ、ナナは思わず腹部に手をやった。

ナナと愛し合い、その精を胎内に放った後、次元はすごく優しい顔をする。

そして、いたわるようにそっと抱きしめてくれる。

オレの子供を産んでくれ。

オレの家族を作ってくれ。

どうかオレの帰る家を…。

次元のその想いを、ナナも強く感じていた。



「五ェ門はまだ分かるけど…あの次元があんなに家庭を持ちたがるなんて、意外だわ。」

「トシなんじゃないの、単純に。」

「うふふ。そうかもしれないわね。」



その夜、ナナが不二子と夕食を食べていると日本から電話がかかって来た。

日本にいるルパンらは昼夜がほぼ逆転した生活になっているらしい。

ルパンの声は元気だったが、かなり疲れていると言っていた。



「だから4ヶ月もかけるなんてバカよ、って言ったじゃない。さっさと片付けて帰ってきなさいよ。」

『だぁ〜ってオレ様不二子ちゃんとお腹のベイビーちゃんのためにがっちり稼がないと、って頑張ってんでしょ〜よ?』

「そんな事言って…ホストクラブのお客さんと浮気する気満々のくせに。」

『んな訳なぁ〜いでしょ不二子ちゃん!パパは真面目な家庭人になったのよ?』

「どうかしらねぇ…。」



ホストクラブ、とは男性が女性をもてなす形の日本の風俗店。

ルパン達は今回、そこで秘密裏に取り引きされる「ブラックマネー」を狙っているのだ。

店に潜入してホストに成りすましたルパン達はその隠し場所を探り、うばって来ようという話らしい。

だが、不二子はかなり怪しんでいた。

ルパンは単に、この仕事を楽しみたいがためにこういう計画を立てたのではないかと…。




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