Route 66

□Episode4.プラシオライト
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紫に輝くはずの宝石が炎の熱で緑に変わる。

人はそれに新しい名前を与えた。

若葉のような、淡い緑の輝き。



Epsode4.プラシオライト



「わざわざ来てもらって悪かったわね。」

「ううん。いいのいいの。たまにはお店も休まないと。」

「飲み物何にする?」



久しぶりに会った不二子はますますお腹が大きくなっていた。

この間来た時にルパンがしていたエプロンを今日は彼女がつけている。

ナナは紅茶を煎れて欲しいと頼んだ。



「ダージリンで良いかしら?」

「ありがとう。ていうか…意外に地味な暮らしなんだね。」

「このくらいが一番落ち着くのよ。豪邸に住むのも飽きちゃって。」



ルパンも不二子も、ナナの計算上少なくとも数百億の財産を持っているはずだ。

ならば、もっと大きな屋敷でたくさんの使用人を従えて暮らしていてもいいだろう。

だが、2人は他の仲間がしょっちゅう出入りするこのアジト兼自宅にすっかり身を落ち着けている。

家事も自分たちでやっているらしい。

大きめの冷蔵庫の中にはたくさんの食材が詰まっていた。



「ルパンったらいきなり日本で4ヶ月仕事するっていうんだもの。妊娠中の妻を置いて…何考えてるのかしら。」

「亭主元気で留守がいい、って言うらしいじゃないか。仕事熱心で頼もしいと思わないと。」

「ナナ、それ次元から教わったでしょ?」

「あらやだ。何で分かったの?」

「あいつが言いそうな事じゃない。」



日本で4ヶ月かけて仕事。

ナナが次元から聞かされたのもいきなりだった。

ルパンに対してプリプリ怒っている不二子とは対称的に、ナナは「あっそう」という感じで次元を送り出した。

次元の顔を何カ月も見ないで過ごすのは慣れっこである。

そんなナナの態度に、次元はちょっと寂しそうに言ったのだ。



(ちぇっ…亭主元気で留守がいい、ってか…。)



彼に会えない間、ナナだって寂しくないとは思わない。

だが、このご時世地球の裏側までだってすぐに連絡がつく。

国際電話代を惜しまなければ次元の声などいつでも聞ける。

ナナは次元が元気にバカをやって、ちゃんと自分のところに帰ってくればいいと思っていた。

そう言うと、不二子はケラケラ笑って喜んでいた。



「ナナってクールなのねぇ!次元が聞いたら泣いちゃうわよ?」

「そ〜お?」

「あいつったらこの仕事の話聞いたとき、ナナに会えなくなるからって言ってけっこう渋ってたんだから。」



日本の歌舞伎町で4か月かけて仕事。

ルパンから突然その計画を告げられた時、不二子も文句を言ったが、次元もかなりブーブー言っていた。

狙うのはかなりの大金。

だが、その分長い期間拘束される。

ナナと一緒に暮らし始めたばかりの次元は「自宅」を留守にするのを嫌がったのだ。



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