Route 66

□ Episode2.ピジョン・ブラッド
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誰が立つか 喪主に立つか

それは私よ ハトがそう言った

愛するひとを 悼んでいる

私が立とうよ 喪主に立とうよ



■Episode2.ピジョン・ブラッド



「あれま…こりゃ久々に見る顔だわぁ…。」

「何だよ。顔見知りか?」

「いんや。写真だけヨ。」



初めて会うはずのルパン3世はナナをよく知っていた。

連れてこられたアジトは泥棒の家とは思えないほどきれいだった。

そして、その屋敷の主は何故か前掛けをしてせっせと家事をしていた。

フライパンの中には野菜と薄く切ったソーセージ。

遅い朝食のようだった。



「ごめんねナナちゃん、すーぐ終わるからかけて待ってて。」

「あなた…ルパン3世なのよね?」

「そーですヨ。あ、次元、不二子ちゃん呼んで?」



次元は面倒くさそうに立ち上がり、階段の下から上に向かって怒鳴った。

すると、2階にいた女がすぐに降りてきた。

マタニティドレス姿の女がにっこりと笑う。

その顔を見たナナはあっと驚いた。



「峰…不二子?」

「あら、いらしてたのね。待ってたわ『リトル・レッド・ロビン』ナナ。」

「そのお腹…。」



不二子はうふん、と笑ってお腹を撫でた。

左手薬指には金の指輪。

ルパンの手にも同じものがあった。



「ルパン3世の子なの…?」

「ええ。4世よ。」

「ぬふふふふ♪スキャンダルっしょ?できちゃった婚なのオレ達♪」



ナナは久しく「裏」の人間関係に関わっていなかった。

不二子がルパンの一味とは知っていたが、このような間柄になっていたとは初耳だった。

思わず自分の「ブランク」の長さを感じずにはいられなかった。



「今回、盗みの依頼が突然あったんだけど、アタシがコレだからルパンも動けないでしょ?次元にお願いしたのよ。」

「それで…次元がアタシを?」

「ホントはもう1人五ェ門ってのがいんだけどさ。今、アイツ日本に引っ込んじまってんだよね。」



ルパン一味が今の主要メンバーで活動し始めてから、20年以上になるという。

ナナの記憶では、彼らは家庭など持っていなかったはずだ。

しかし、次元は自分以外の者はみんな相手がいると言った。



「五ェ門はまだ籍入れてねえけど時間の問題だしな。不二子に至ってはもうすぐママだ。」

「はぁ…。」

「だから、今回は独身の次元ちゃんに頑張ってもらおうと思ったんだけんど…もしかしてナナちゃんて次元のカノジョ?」

「あーそうだ。悪いか?」

「ヌフフフフ♪ぜーんぜん?お前さん信じて任した甲斐があったぜ、相棒♪」



わしゃわしゃと髪を撫でくるルパンを次元はうるさそうにしていた。

聞けば、今回の仕事は次元1人では流石に無理で、助っ人の選択はルパンが次元に任せたらしい。

そこで選ばれたのがナナというわけだ。

お宝は『ウノ家』の至宝『エキュドナの涙』。

そこは、ナナが一度盗みに入った場所だった。



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