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□【第七話】 炎の試練と七つの指輪
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ルパンが動くと事件が起きる。

きっとそう覚悟して付き合うしかないんだ。

思い知らされたあの日の私は、まだまだお子ちゃまだったんだね。



【第七話】 炎の試練と七つの指輪



小屋の中に入るのに、ルパンは老人に肩を貸した。

しわくちゃの老人の目には布の覆い。

聞くと、もうずいぶん前から目が見えないのだということだった。



「目が見えないのに、一人で暮らしてるの?」

「普段は特に困る事もないからのう。」

「そうなんだ…。」



老人は目が見えないはずなのに千汐のほうに顔を向けて話をする。

耳が良いのかと思っていたら、そうではないと言った。



「お前さん、ピアスをつけとるじゃろ。」

「え…何でわかるの?」

「千汐、タルボ爺さんはな、そのピアスの『声』が聞こえちまうんだよ。」



最初、何を言われているのか分からなかった。

ピアスはリモーネファミリーの指輪を奪った時にルパンから千汐がもらったもの。

だがタルボは話してもいないのにその事を言い当てた。



「それと同じ石から切り出された兄弟は今、2人の男が持っとるな。カフスボタンを持った『サムライ』はお前さんにベタ惚れのようじゃ。」

「ど…どういう事?」

「ほっほっほ。長く生きとるからの。歳の功じゃ。」

「でさぁ、じいさん。今日はちょっと相談があんだけどさ。」

「分っとるぞ。その、ポッケに入っとる石じゃな?」



ルパンのズボンのポケットからは、タルボの言った通りに何かの石が出てきた。

拳くらいの大きさの、緑色の石。

千汐にはただの石にしか見えなかったが、ルパンは『ヒスイ』の原石だと言った。



「こりゃあこりゃあ…やかましい石じゃのう。」

「じいさん、こいつで指輪を5個作ってくんねえか?」

「ふむ。指輪か。」

「次の『仕事』にどーしてもじいさんの指輪が必要なんだ。報酬はいくらでも払うぜ。」



ルパンが言っている指輪は、金属の台座のないヒスイだけでできた指輪だという。

千汐も雑貨屋でパワーストーンリングとして1000円くらいで売っているのを見たことがある。

石をリングの形に削るだけなのだから、機械と腕さえあれば難しい仕事ではない。

だが、タルボは金だけではこの仕事はできないと言った。



「ルパンの孫よ、ワシがどんな人間か知っとるな?」

「ああ、知ってるぜ。」

「『ボンゴレ』専属の彫金師じゃ。ファミリー以外の人間のために仕事をする事は禁じられておる。」

「そうだな。」

「いたいけな老人に危ない橋を渡らせるんじゃ。それなりの『対価』を払ってもらわんとのう…?」



にやりと笑ったその口に、黄色い歯が覗く。

タルボ老人は、不気味な笑みを浮かべていた。


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