Route 66

□Episode7.ライトニング・クォーツ
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誰がこまどり看取ったの?

「わたし」とハエが言いました

小さな目でしっかりと

わたしがこまどり看取ったの



Episode7.ライトニング・クォーツ



クリスマスが過ぎた頃、ナナは久しぶりに1人で外出していた。

次元はルパン達に会うためパリに行った。

年越しは彼らとパリで、などという話もでている。

ルパンや不二子はナナの父親が死んだという話を聞き、かなり心配してくれていた。

特に不二子はテッセラクトの事を良く知っておりショックを受けていた。



(病気っていう話は聞いてたの。でもまさかあの人が殺されるなんて…。)

(ジェシカ・ウィリアムズっていう名前に聞き覚えはない?)

(残念だけど…良く分からないわ。)



父は犯人の名前を言い残して死んだ。

さらにあのママ・スパロワがナナを殺そうとしたのではないと言った。

フライ・ジュニアやカイトをけしかけたのも、次元にナナの暗殺を依頼したも恐らくはスパロワではなく…ジェシカという女。

だが、その正体は全く見当もつかなかった。

名のある殺し屋や父の命を狙っていた組織の構成員ならばどこからか情報を得るつてもある。

しかし、テッセラクト死去のニュースが広まっても一向にその犯人の名が浮いてくることはなかった。



「ジェシカ…ウィリアムズ。」



女の殺し屋は少ない。

ナナが知っている名前も片手に納まるほどだった。

次元や不二子の方がもっとよく知っているが、それでも彼らすら聞いたことがないと言った。

一体どんな女なのだろうか。

ナナはきゅっと唇を噛んだ。



「チャオ。」

「やぁ、良くいらっしゃいました。ナナさんですね?」

「ええ。」



イタリアの静かな街。

久々にやってきたその場所はナナの住んでいる街とよく似ていた。

観光パンフレットに載らない無名なその街に、父テッセラクトが荷物を預けている貸し倉庫があった。

ナナに遺された鍵のうち1本がそこの鍵だった。



「危なかったですね。あと1カ月で期限切れだったんですよ。」

「延滞料は?」

「お金は振り込んでもらってたから大丈夫なんですが…更新手続きにいらしていただけてなかったものでね。」



アメリカでよくある話なのだそうだが、貸倉庫に物を預けたまま持ち主が忘れてしまい、倉庫がほったらかしになってしまう事がある。

そうすると次の客がとれないため、期限を決めて倉庫の貸主は強制的に中の物をオークションしてしまう。

倉庫に高額なものを入れていた客はたまったものではない。

だが倉庫を貸す時にそんな契約になっているため、売られたほうはもう文句は言えない。

この倉庫もそんな契約になっていた。

通常は使用料を滞納している客に対してその措置をするようだが、テッセラクトの倉庫の貸主は少々あこぎな性質であるようだった。



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