Route 66

□Episode4.プラシオライト
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「…次元、聞くが今の電話の相手は…。」

「オレの女だけど?」

「女性を相手に何という事を言っとるんだお主は…。」



呆れかえっている五ェ門。

その傍らで死ぬほど笑い転げているルパン。

次元は大きな欠伸をした。

ここはルパンと次元が共同で借りているマンションの一室。

今回の『仕事』の拠点だった。



「別に、いつも通りだぜ?」

「い…いつも通りの会話があれか…。」

「ひゃっはっはっは!いいよなナナちゃん!最高だぜ!」

「ナナ殿というのか…。」

「写真見るか?」



次元は携帯の待ち受け画面を五ェ門につき出した。

裾がほつれてしまった次元のズボンを縫っているナナ。

次元はそれを斜め上から撮っていた。

傍にはまだたたんでいない洗濯物。

所帯じみたその構図に五ェ門はため息をついた。



「…のろけおって。」

「オレの嫁だ。イイ女だろ?」

「拙者の妻のほうがいい女だ。」



自分の女に関しては五ェ門も譲らない。

同棲中の恋人を「妻」と呼び、郷里では早くもそう認知されているらしい。

街の住人に「ヒモ」と呼ばれつつもナナの夫として認識されつつある次元も同じような状態だ。

遅すぎる春を謳歌する相棒2人…。

ひとあし先に妻を持ち、もうすぐ一児の父となるルパンは彼らののろけぶりを呆れた目で見ていた。



「嫁だの妻だのって…おめえらまだ入籍してねえじゃねえのさ。」

「もうコイツで決まってんだから嫁でいいんだ。」

「拙者もあやつの他の女を娶る気はない。」

「お〜お〜。お熱いこって。」



そんな事を言うルパンも携帯の待ち受け画面は妻の不二子だ。

上半身だけ服を脱ぎ、大きくなったお腹を写した画像。

1カ月ごとに育つ子供の様子を写した画像はルパンの大事なコレクションになっていた。



「にししし♪不二子ちゃん、ベイビーちゃん、パパは明日も頑張りますよ〜♪」

「なぁ、ルパン…おめえ、ガキができても泥棒続けんのか?」

「あったりめえだろ?不二子とジュニアの食い扶持を誰が稼ぐんだよ。」

「…そうか。」

「次元はナナちゃんが妊娠したら泥棒は引退?」



ソファーに寝転び、煙草を吹かしながら次元はそうだな…と呟いた。

今のように長く家を空けたままにする父親になる気はない。

昔から自分の中にあるイメージ通り、家族がいつも一緒にいる家庭が次元の理想だった。



「子供が学校でオヤジの職業聞かれて…マトモに答えられねえのはかわいそうだからな。」

「拙者もそれはそう思う。」

「ありゃ…五ェ門ちゃんも?」



五ェ門も次元と同じ考えのようだった。

彼は過去に一度結婚を考えた時、迷わず引退の道を選んだ。

自分のせいで家族は犠牲にしたくない。

その思いは2人とも同じだった。

3代前から泥棒稼業のルパン家とはやはり違うのだ。



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