Route 66
□Episode4.プラシオライト
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「まぁいいわ。せいぜいモテて稼いできてね。」
『不二子ちゃぁん…。』
「じゃ、そろそろ次元に代わりなさい?ナナが待ってるのよ。」
電話を代わると、次元の疲れた声が聞こえてきた。
連日酒を飲み続けて喉をやられ気味なのだとか何とか…。
ナナには何をやりたいのかがよくわからなかった。
「ど〜お?稼げてる?」
『…帰りてえ。』
「嘘。ホントは楽しんでるくせに。」
『楽しかねえよ。』
「あらやだ。毎日着飾ったお上品なレディ達にちやほやされてお金までもらってお酒飲んでるのが楽しくないっていうの?」
隣で電話を盗み聞きしている不二子がクスクス笑う。
きれいな指がスピーカーフォンのボタンを押した。
日本のホストクラブがどういうところかくらいはナナも知っている。
男と女の駆け引きが飛び交う乱れた社交場だ。
ホストから客へのキスのプレゼントは当たり前。
人気を得るために身体を売る男もいる。
そんな事をしているのかと聞けば次元は当然「NO」と答えるだろうが本当はどうだか。
置いて行かれた立場のナナは電話越しの彼に対し、酔った勢いでついつい意地悪な口調になった。
「次に会った時を楽しみにしてるよ。どれだけ女をいてこますのが上達したかベッドの中で『成果』を見てあげる。」
『バカたれ。はした金で下水臭え街にわざわざ男を買いに来るようなションベン女のアソコになんざ興味ねえよ。』
「ふうん?365日すっぴんでロクに身体の手入れもしない田舎育ちの女のアソコには毎晩あんなに夢中になってるくせに?」
『毛だらけで使い古しの真っ黒なチンコを干からびるまでしゃぶってくれる優しい女に夢中になって何が悪い。』
「あら嬉しい。生まれて初めて『ゲテモノ食い』を褒められたわ。」
不二子は傍らのソファーに突っ伏して笑い転げていた。
下ネタに免疫のない女ならば引き攣っていただろうが、不二子は涙が出るほど喜んでいる。
ナナと次元の会話はいつもこんな感じだ。
ムードも何もない、本音丸出しのやりとり。
色んな意味で気取らない関係なのだ。
『オレぁ逆にお前がオトコを咥えこまねえか心配だぜ?あの街の野郎は年中発情期だからな。』
「大丈夫。フルチンでハチノスになる覚悟でアタシを押し倒す男はアンタだけよ。」
『…愛してるぜ、ナナ。』
「アタシもよ、大介。」
『じゃあな。そろそろ眠いから切る。』
電話を切った後も、不二子はまだ笑っていた。
お腹にはルパンの子供。
胎教に悪かったのではないかと少し心配になった。
「アッハッハッハ!ナナ、アンタってホント最高ね!」
「ごめん不二子…未成年の坊やがいたの忘れてたわ。」
「アタシとルパンの子だもの。平気に決まってるじゃない。」
「そお?ならいいわ。」
「次元は大丈夫よ。アンタほどイイ女がいれば、たとえ浮気してもちゃんと戻ってくるわ。」
不二子はそう言ってウィンクした。
それはきっとルパンにも同じ事が言えるだろう。
ナナはそう言って笑った。
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