5つ目のターゲットマーク

□ 【第十八話】 京の都と鬼の花嫁
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「ま、待てっ…!!」

「貴様ぁ!!窃盗の現行犯で逮捕してくれるぞ!!」

「無理だよとっつあん!今日は手錠持ってないんでしょうが!!」



ルパンは胸元に隠してあったワルサーを抜き、白拍子の裾に向かって撃った。

用意の良いのはいつもの事。

飛び出したのは弾丸ではなく、釘のようなものだった。

黒光りする金属の針がカカッと梁に刺さった。

だが、白拍子は桜の幹に打ちつけられるところをさっとかわし、垣根を越えて消えていった。



「追うぞ、次元!!」

「あいよ。」

「不二子!ジュニアは頼んだぜ!!」

「ちょっとルパン…!!」

「待てぇてめえら!!盗人を追っかけるのはオレの仕事だ!!」

「千汐、拙者も行ってくる。すまんが待っていてくれ!!」

「五ェ門…待って!!」



もう、結婚式どころではなかった。

騒然とする参加者。

千汐が焦って着物を脱ごうとしていると、千咲は「待っていなさい」と静かに言った。



「今日はお父さんと五ェ門さん達に任せなさい。女は時には待っている事も必要よ?」



結婚式は中断。

仕方なく、千汐は不二子や母と共にホテルに戻った。

男たちは夜まで帰って来なかった。



「ジュニア、おとなしいね。」

「いつもは泣いちゃってすごいのよ?ルパンも私も夜泣きで寝不足なんだから。」

「そろそろ泣かなくなるわよ不二子ちゃん。今が踏ん張り時。」

「きっとおば様があやすの得意なのね。」

「当然じゃない。私はもう5人目だもの。」



ホテルで待っていると、千咲あてで銭形から電話があった。

京都市内のとある場所まで迎えに来て欲しいという。

千汐は五ェ門の親戚に車を借り、言われた場所まで向かった。



「お父さん…!どうしたの、その怪我…!」

「ひでえもんだ…とにかく奴らを車に乗せてくれ。」

「五ェ門まで…!ちょっと!しっかりして…!!」



銭形は何故か火傷を負っていた。

五ェ門やルパン達も同様…。

入院するまでの事ではなかったが、4人ともボロボロになって帰って来た。



「山の中に不気味な屋敷があってよ…。みんなしてあの女を追いつめたんだけど、あいつらバケモンみてえでさ…。」

「化け物…?」

「赤い袴着た気味わるい女どもが何十人も…火のついた弓矢をぼんぼん撃ってきやがったんだ。」



女たちは皆、同じような能面をつけていたという。

ルパンや次元は銃で攻め入ったが、彼女らの返り討ちに遭った。

射られた火矢の威力は五ェ門の斬鉄剣でも薙ぎ払えぬほどで、一行は一時退散を余儀なくされたという。

暗い森の奥に住む妖魔の集団。

そう思ってしまうほど、不気味で得体のしれぬ者たちだった。



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