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□【第八話】 パリの雨夜と忍び寄る影
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@大豆を煮てつぶす
A潰した大豆に塩と麹を混ぜ合わせる
B容器に入れて保管
そうして味噌ができるのは10か月くらい先だ。
だが、何キロか仕込んでおけばいざという時に非常食になる。
そんな話をしながら、ルパン一味は総出で10キロの味噌を仕込んだ。
「そういやいつだったか…アフリカかどっかでコンニャクつくったっけか。」
「な、何で?」
「五ェ門の斬鉄剣が盗まれちまってよ。それを取り返すためにコンニャクが必要だったんだ。」
「そういや、あん時は後で手が痒くなって大変だったな。」
「すまぬ…あの時はとっさにコンニャクしか思いつかなかったのだ。」
「…何だか分かんないけど大変だったね。」
ルパンたちの昔の話は面白いが、ときどき訳が分からない話も出てくる。
タイムスリップする変な奴と戦った話。
ルパンの体がおじいさんと入れ替わった話。
女装したルパンが大富豪に惚れられて結婚した話…。
味噌豆を玉にしながら、そんな昔話に花が咲いた。
「ルパンが燻製にされて風見鶏になっちゃったときもあったのよ?あの時はさすがにもうダメかと思ったんだから。」
「やめてよ不二子ちゃん。あれけっこうトラウマなのよ、オレ様…。」
「あとは五ェ門が温泉で誘拐された時な。」
「あ…あの話はやめてくれぬか?」
「オレが迎えに行ったら斬鉄剣とフンドシだけ残ってたんだがありゃ何があったんだ?」
「次元!!」
「『五ェ門フルチン誘拐事件』の話はよそうぜ次元?女の子2人もいるんだからよぉ。」
「妙なタイトルをつけるな!!」
みんなシャレにならないような事件を冗談めかして話す。
多いのは不二子が裏切った事件だった。
横取り、寝返り、色仕掛け…は当たり前。
時にはルパンを食したいという悪食男にルパン売ったり…。
千汐が絶句するような話を、不二子は平気で笑い飛ばしていた。
「だって…それだけやってもルパンはアタシに首ったけなんですもの。愛されてるわよねぇ?」
「…え〜っと。」
「ぐふふふふ♪んでもって、最後はオレ様が勝利、って訳♪」
「そうね。考えてみたらルパンの奥さんになっちゃえばもらえなかったお宝もみ〜んなアタシのものですもの♪」
「愛してるぜ、不二子〜♪」
「…次元、五ェ門、このバカップルも味噌と一緒に漬けていい?」
「そんな犬も喰わねえもん作るんじゃねえよ。」
「拙者ももう腹がいっぱいだ…。」
味噌が腐っては困るという事で、バカップルはとりあえず漬けないでおいた。
何年越しだか知らないが、ルパンと不二子はどうやら正式に婚約したらしい。
子供ができたら不二子は引退するとか何とか。
ルパンは舞い上がっており、不二子はなんだか落ち着いた感じだ。
もっとも次元も五ェ門もまたいつ不二子が裏切ることかと気が気ではないらしいが…。
「さて、完了♪」
「おい千汐、雨が小降りになったぜ。」
「あ、良かった。買い物行ってくるね。」
パリの長雨はもう2〜3日続くらしい。
少し雨脚が弱くなった合間を見て、千汐は夕飯の買い物に出た。
千汐だけで行ってこられない量ではなかったので1人ででかけたが、屋敷を少し出たところで五ェ門が追いかけてきた。
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