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□【第七話】 炎の試練と七つの指輪
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千汐がタルボの家に着いた頃、五ェ門はアジトで不二子からの電話を受けていた。

不二子が告げた千汐とのケンカの原因…。

それは、五ェ門を失望させるものだった。



「…本当に千汐がそんな事を言ったのか?」

『ええ。だから引っ叩いてやったの。』

「不二子、お主どこにいる?」

『イタリアよ。詳しい場所は言えないけど。』

「一体…何をするつもりだ?」

『すぐにわかるわ。じゃあね。』



それきり、不二子からの電話は切れた。

電話を握りしめたまま、五ェ門は暫く突っ立ったままだった。

昨日の朝早く、千汐がルパンと2人で出かけた。

行先は言わず、置手紙を置いて…。

不二子はその後を追った。

そして、2人がどこへ行ったかを突き止めたらしい。

だが、不二子は2人とは全く別の場所にいるようだった。



「五ェ門、どっちを追うんだ?」

「…決まっておろう。」

「どこ行ったのかわかんねえのにか?」



落ち着け、と次元は言った。

残された3人の中で唯一冷静なのは次元だけだった。

今にも家から走り出してしまいそうな五ェ門を諌めながら、次元は散らかったルパンの机の上を漁った。

すると、ルパンが倉庫から出してきて調べていたヒスイがなくなっていた。

さらにはパソコンの脇に、日本の古墳から出土した遺物の図録。

そして、ルパン2世の日記…。

次元は直感的に、それが行先の手がかりだと察した。



「あの野郎…めんどくせえ場所に行きやがったな…。」

「…2人はどこだ?」

「イタリアだ。場所的にほとんどスイスだけどな。」



場所が分かると、次元は屋敷の施錠をして車庫に向かった。

整備の済んでいる車をルパンと不二子が使ったせいで、残っているのはオンボロの飛行機だけだった。

次元は五ェ門を後ろに乗せ、すぐに屋敷から飛び立った。



「地図見とけよ、五ェ門。」

「ヴァルトゥルナンシュ…?何故そんな場所に…。」

「山登りデート、ってのも流行ってるらしいけどな。」



デート、という言葉に五ェ門はあからさまに顔をしかめた。

電話で不二子が言っていた言葉。

千汐が女の不二子に漏らした本音…。

それが、五ェ門の胸に深く突き刺さっていた。

千汐は五ェ門に何の想いも抱いていない。

そして、それ以上に辛かったのは千汐が自分の『血』に捕らわれている事だった。



「…千汐が純粋にルパンを愛したのならまだ諦めもつく…だが…。」

「ご先祖様を比較されちゃあな。」

「そういう事ではない…!」



組のために、初代・石川五右エ門の血ではなくルパン1世の血を継ぐルパン3世の子を残すべき、と千汐が思っていたことももちろんショックだった。

しかし、五ェ門が本当に辛かったのは千汐が自分のためでなく、巴組のためにそう考えているという事実だった。

千汐は自分の意思で組を飛び出した後もまだ、「自分のために」生きていないのだ。



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