緋色の欠片
□想い想われ、
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季節は夏。
夏の真っ只中だ。
俺、貢采架は、休日の学校の図書室でぐったりと過ごしていた。
『暑いー・・・溶けちまうだろ・・・』
メルト、そんな言葉を思い出す。
「溶けるのか?」
そして急に現れる影。
『うっわあ!び、びびびっくりした・・・』
「・・・・・・そんなに驚くとは思わなかった。すまない」
そう言い放つと、申し訳なさそうに眉を下げ謝っている男子、
―――――狐邑祐一は俺の隣に座った。
『いや、大げさだった。・・・で、あんたは俺になんか用?』
「・・・・・・特に用事はない。ただ、見つけたから話しかけただけだ」
再び戻る静寂。
それを破るのはやはり俺。
『・・・・・・・・・あちぃ・・・』
これは、家に帰って扇風機にあたっていた方がいいんじゃないだろうか。