SUGAR & SPICE

□最後の奇跡
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ケテルとマルクトと共に私たちは暗い闇の中を走る。

先ほどうつろと対峙したが、祐一の力が戻っていたため難なく倒すことが出来た。

微量に感じられる魔力を追って今は森をひたすら進む。

魔力の近くに来たとき、息を潜めた。


「・・・祐一先輩と采架さん、ケテルさんがいないなんて・・・」

「あの子は力が暴走していた。・・・生きているかは分からない」

「そんな・・・!」


そしてこれが私たちの仲間の声であることが分かり隠れるのをやめ、声を掛ける。

『勝手に殺すな、ダメガネ』

「「!!?」」

「采架さん・・・祐一先輩に、ケテルさんも・・・!」


皆、私たちの登場に驚きながらも喜んでくれた。

その後、ニール改めマルクトのこと、ケテルがニールだったということを話した。


「・・・本当に大丈夫なのか?」

「僕たちを騙していたのに・・・」

「・・・それはすまないと思っている。

だから、この戦いで償いとさせてもらいたい」


『共に戦うと誓ってくれたんだ。・・・信じてくれ』

少しの沈黙の後、珠紀がケテルに向かって笑顔で言った。

「・・・分かりました、改めて・・・よろしくお願いします!」

「!!・・・期待に沿えるよう、全力で戦おう」


すべての話を終え、卓が切り出す。

「さて、話はもう終わりにしましょう。」

『ああ・・・この現象を終わりにしなければ・・・』

言葉を一度切ったところで辺りの空気がぴりぴりと震えだした。

巨大な力が爆発したように。

『これが、鬼斬丸という刀でしか倒せなかった神の力、か』

「この距離でこれか・・・」


桁違いの力だと慎司がいう。


「ここからが問題だ。まだ何も解決しちゃいないんだから。

この現象を終わらせる方法は―――」

「鏡の契約者が倒れること―――」


芦屋は続け、この中の誰かが契約者になり死ぬ方法もあるといった。


『珠紀、』

「お前が決めろ、珠紀。

お前の言葉を、俺が現実に変えてやる」


珠紀は決意したように顔を上げた。






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