SUGAR & SPICE

□過去への執着心
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・・・昔の夢を見た。

まだ地上にいた時の、幸せな夢。

母さんも父さんも生きていて、

私も普通に笑えて。

心から楽しんでいた日々の。


ダードが現れてから、母さん父さんが死んでから・・・。

色々なことが、今までの生活が一変してしまったのだ。

あの日。

私たち家族は、地上の家に来ていた。

時間は限られているものの、家具や生活用品を取りに。

ダードがいつ現れるか気が気でなかったが、

昔のアルバムなどを見つけると少し和んでいたように思う。


あと少しで時間になる。

荷物をまとめ、家を出たときだ。

「皆さん急いで!すぐ先にダードが・・・っぐあああ!」
ぐしゃッ


付き添いの人の焦った声と悲鳴。

何がなんだか分からずパニックになった。

「逃げるんだ!采架!」

『いやだ・・・父さん!嫌だ!!』

父さんは近くにあった家の刀でダードを斬っていった。

母さんも鉄パイプで私の逃げ道を確保してくれている。

「いくのよ采架!早く・・・!」

でも私は動けず、そこにいて父さんたちを必死に説得していた。

するとすぐ父さんの横に別のダードが現れ、

「くっ!早く逃げ・・・うわああああ!」

「あなたっ・・・ヒッ・・・きゃあああああ!」


母さんと共に喰らった。

ザンッズシャッ
グシャッ


『・・・母さん・・・父さん・・・?』

二人を喰らったダードは私を見て鳴く。

グルルルゥッ

後ずさりするものの、すぐに壁についてしまった。

じりじりと寄ってくるダード。

でも足に何かあたった感触があり下を見ると・・・


――――――父さんの、刀。



『・・・ァ・・・ッ・・・』

私がそれを持った瞬間。

グアアアアアッ

『うああ゛あああッ!』

ダードに向かって刀を振るった。

無我夢中に何度も、

私だけでも、生き抜くために。






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