SUGAR & SPICE
□対峙と再会
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仄暗い森を進む。
皆静かに辺りの気配を探り、声は一つも出ていない。
狐邑の幻術を使い、私たちの姿は並みの人間には見えないそうだ。
・・・便利なものだ。
それでも春日は、緊張しているようだ。
『・・・・・・大丈夫か?』
「あ・・・はい。大丈夫です。」
『・・・そうか』
そうして気づくと木々の向こうに、洋館らしきものが見えてくる。
あれが、"ロゴス"という者たちが使っていた場所か。
「・・・・・・ここまでは特に何もなかったね」
「祐一先輩のおかげですかね」
「いや・・・・・・問題はここからだろう」
『・・・・・・そうだな・・・』
目をつぶる。
神経を研ぎ澄まし、気配を探る。
人の気配は・・・・・・2つ・・・?
とにかく、複数のようだ。
『・・・・・・不確定だが、気配は2つ。・・・あまり当てにはできないが』
「・・・わかりました・・・ありがとうございます」
春日が手を伸ばす。
すると、その手は途中で止まった。
「確かに結界だね。それもかなり強力なもの・・・」
「やれそうか?」
「・・・・・・やってみます」
春日は少し力を入れ、結界をはずそうと試みる。
「ふ・・・・・・く・・・」
しばらくするとその結界は崩れ去った。