小説
□テイルズ学園 第7章
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「んじゃあ、これから会議を始めるぞ。ユアンやクラトス、ゼロスは…席を外しているが、そのうち来るだろう」
バルバトスは小さいマウスのような物のスイッチを押す。
するとマウスのような機会から映像が宙に現れる。
「すっげー!」
スタンは思わず感激して大声を出す。
隣にいたルーティには「うるさいって」と突っ込みを入れられたが。
そのとき、会議室の扉がガラッという音を立てて開かれた。
「私、ユアン•カーフェイとクラトス•アウリオンは只今を持って会議に参加する」
ユアンはいつもの髪留めをしていなく、髪が乱れている。
そしてユアンとクラトスの顔には浅い斬り傷がいくつか見られる。
「いいところに来たな。まだ会議は始まったばかりだ。ちぃっとばかし説明を手伝ってくれないk…」
「貴様に言われんでも分かってる」
ユアンがバルバトスの言葉を遮る。
「まあいい…今日の俺は紳士的だからな。ちょっとしたことで怒らないのさ」
「え?そうなの?バルバトスって紳士的なのか?」
「だからアンタは黙ってってば」
スタンとルーティの漫才、再び。
「さあ、今度こそ本題に入るぞ。まずはダテ学についてだ」
バルバトスの持っている機会はダテ学の校舎の映像を映す。
「見るからに気味悪いわねぇ」
ハロルドはそう言うものの、興味があるようだ。
目には輝きがある。
「ダークテイルズ学園、通称ダテ学。そこはテイルズ学園と時間の流れが違っていてな。あっちの方が早い…んだっけか?」
バルバトスは主にクラトスに、そして宛てもなくユアンに助けを求める。
「こちらのテイルズ学園で言う一週間ならば、ダテ学で言うと一年の月日だ」
助け舟を出したのはユアンだった。
「(クラトス、俺はお前を宛てにしていたのによ!)…というわけだぜぇ。他は質問してくれれば答えるぜぃ」
バルバトスの言葉を聞いた途端、スタンが挙手する。
「はぁい、スタン君どうぞ」
「はいっ!えっと…ダテ学ってどこにあるんですか?」
バルバトスは少し悩んでからテイルズ学園周辺の地図を取り出す。
すると地図のテイルズ学園から指を滑らせて左隣で指を止める。
「ダテ学はなぁ…テイルズ学園のすぐ隣に位置している。聖域のせいで見えていないがなぁ」
「″聖域″って言うのも説明してしてもらえますか〜?」
今度はリリスだった。
「聖域っていうのは魔物を寄らせないようにするためのものだ。粋護陣などの防御魔法をより強力にしたもの…とでも言うべきだろうなぁ。それをテイルズ学園周辺に張り巡らせている」
バルバトスがリリスに答えると、またもや扉が開いた。
荷物とゼロスを抱えた男が入ってくるなり、荷物だけを床に降ろす。
「…やれやれ。私がいない間に随分と時代は変わったのだな」
「テメーこのやろっ!俺さまを離せ!」
一同は荷物を降ろした人物を見ると、驚きのあまり絶句する。
「クラトス!?」
バルバトスとユアンは特に驚きを隠せない。
「本物は私だ。そちらは私に情報を伝達し、戦ってもらうための、ジェイド最高傑作のレプリカだ」
クラトスはユアンの隣に座っている自分と同じ姿の者を一瞥した。
ゼロスは彼に離してもらうと剣を抜く。
「何で今まで姿を眩ませていたんだ!?ずっと本物だとばかり思っていたのに…あんたのせいで俺はいらない仕事をすることになっただろうがよ!」
「…いらない仕事?」
リフィルが眉を寄せる。
「ああ。こいつがいつまでもダテ学に対して動かないものだから俺が代わりに偵察しているんだろうがよ!!…って、ああ!?言っちまった!?」
ゼロスは慌てて口を押さえるものの、もう遅かった。
「余計な真似を…。あれほどレプリカを通じて言ったではないか。″お前は関わるな″と」
「何だと?お前が″ダテ学に用心しろ″と言ったからじゃないかよ」
「それは警戒して欲しかっただけだ」
「てめーら、まず事情を説明してもらおうか」
バルバトスが割って入る。
ある意味たくましい勇者だ。
「俺は…ダテ学に用心することにこだわりすぎて、ダテ学の教師になった。目的はあっちの偵察だけどよ」
「…私は只今を持って旅から帰還した」
二人の言い分にユアンは頭を抱える。
「二人とも、いい加減やめろ」
「それもそうだな。こんな男にあたってもダテ学教師になっちまったことは仕方ねぇ」
ゼロスは剣を収める。
「で?会議は続けるんだろ?」
珍しくリーダー性を発揮するバルバトス。