小説
□テイルズ学園 第6章
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夏休みのある日…生徒たちは夏期講習として学園に来ていた。
「なんだかさぁ〜、最近暑くねぇか?当たり前かもしれないけどよ。こうも暑いと、勉強のやる気がますますなくなるぜ」
リッドはうなだれながらトボトボと鞄を持ち、歩いている。
「お前はいつもやる気がないだろ。現に、実技教科以外は何もやっていない。寝ているだけじゃないか」
キールはちゃんと歩くようにリッドの頭を鞄で軽く殴る。
「バイバ!キール、物で人が頭を殴っちゃだめだな。メルディ、暴力ふるうキール怖いな…」
メルディはペットのクィッキーと共にキールを見ていた。
「キールさん、あなたって人は…」
チャットがキールの鞄を見つめていた。
「何だよ…僕は注意しただけなのに、逆に怒られるなんて…」
今度はキールがトボトボと歩く。
「キール…何だか可哀相だな」
リッドは哀れみの目でキールを見る。
「…って、お前が言うなああああぁぁ!」
キールは思わずツッコんだ。
かくしてエターニアチームは校内を歩いて教室までたどり着く。
ファラはえらく慌てた様子で寮から出ていったため、今朝はリッドとキール、メルディとチャットの四人で登校していた。
「…何か…妙なニオイがしないか?」
リッドは思わず鼻を覆う。
「コレ、何がニオイ…?」
「や、薬品のようなニオイですね…ボク、嫌な予感が…」
リッドに続き、メルディとチャットも鼻を手で覆う。
「どうやら薬品を調合しているみたいだな。教室の近くに科学室があるから、そこでやっているんだろう。なにやら笑い声も聞こえたし…」
キールは科学室のほうを指差す。
リッドたちがそちらに目をやると、カイルたちが科学室の入り口近くにいるのを見つけた。
「あいつら、何やってんだ?」
「僕に訊くな!気になるなら、本人たちに訊いてくればいいだろ」
リッドはキールの言葉に頷き、彼らに近づく。
「リッドも気になるの?」
カイルは小声で訊く。
「気になるって、このニオイの正体か?」
「それもあるけど…中の様子だよ」
「中の様子…ねぇ」
リッドは少し難しい顔をするが、なんとなく想像がつくような気がした。
「今さ、俺とロニで聞き耳を立てて中の様子を確かめようとしているんだ。リッドもどうかな?」
「盗み聞きっつうのは好きじゃないけどよ、俺も真相が気になるから仲間になるぜ」
リッドは入り口の物陰に身を潜め、聞き耳を立てる。