小説2
□キミが贈る日の名は
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「カムイの旦那さんは、たまに花を持ち帰ってはあなたにプレゼントしてくれるそうね」
「ど、どこで聞いたんですかそんなこと……」
アクアとカムイは白夜と暗夜、その狭間の新たな王国の城の花園で水やりをしていた。
そんなことは臣下や遣いに頼めば済む話なのだが。
せっかくここまでアクアが足を運んでくれたのだ。
二人でゆっくりと話すには開放的なこの場所で、さらに素朴なことをしているほうが適していると思われた。
そして今現在に至る。
「あら、素敵なことじゃない。
あなたが照れるだけあって、とてもいい旦那さんね。
カムイの表情は毎日幸せで溢れているわよ」
「ありがとうございます。
アクアさんも、いつになく楽しそうな表情ですね?」
ふふ、ばれてしまったかしら。
そうアクアは表情豊かにはにかんだ。
「そういえばもう少しでカムイの旦那さんの誕生日じゃなかったかしら。
今年はどうするの?」
「そうですね……。
実は、考えていることがあって」
二人の話に花が咲く。
そう、近日誕生日を迎えるあの人のために。
カムイはとっておきの策を用意していたのだった。
そんな彼女はついに夫の誕生日を迎えて――。
目次
2 マークス
3 リョウマ
4 レオン
5 タクミ