小説2

□NIGHTMARE!!
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※密室。
若干のヤンデレ要素?
大人向けな表現あり。
突然の謎設定、どうかお許しいただきたい。


「どうしてここに……。
兄さんたちも一緒に……?」


カムイの言う通りだった。
彼女が夢から醒めた頃には見知らぬ場所に転送されていて。
どうやら魔法で作り出されたらしいこの白き空間にいた。
まるで少し狭いワンルームとでも言うべきそこには、カムイと。
それからいつもと装いも雰囲気も違う兄達二人がいた。


「「……」」


兄達二人はというとそれぞれ茶の瞳と真紅の瞳を光らせて真っ直ぐにカムイを射抜いていた。
その真意は彼女には分からない、が。
この訳のわからない空間に一人でいるよりはずっといい、とカムイは心の底から思っていた。


「……ぅっ」


突然マークスが眉間の辺りを締め付ける痛みから守るように手で押さえた。
しかし苦しげな声で小さく唸るところからすると、ここに来てから耐え難い何かを感じているのかもしれない。
カムイが慌てて駆け寄り、彼の手を必死に掴んで訴える。
大丈夫です、私がここにいますから、と言い聞かせるように。


「カ、ムイ……」


それで少し気が紛れたのだろうか、マークスは表情を少しだけ綻ばせた。
が、リョウマはマークスに対してやや怪訝そうな表情をしてみせた。


「カムイ、お前が思っているより事態は深刻そうだぞ」


どうして、と問いたげなカムイに、リョウマはマークスの口元を指した。


「あの牙が見えるか。
あの牙は人の肌に深く食い込み、そして溢れ出てきた血を吸うためのもの。
奴は吸血鬼で、血を吸わなければ生きていけないんだ」

「!!」


つまりマークスが先程から抗っていると思われる衝動は。
カムイから吸血をしようとしてしまう衝動なのだろうか。
人が食事をしなければ生きていけないのと同様、彼も血を吸わなければ生きていけないのだ。
生物的には当然の衝動である。
が、マークスは今もなおその場にうずくまっている。


「カムイ!」


リョウマが腕を彼女に伸ばす、が。
時既に遅し。
カムイはマークスによって床に押し倒され、人ならざる力で強く押さえつけられてしまった。


「兄さ」


カムイはそれでもマークスに対して抗ってみせる。
頭突きをしてでも、止める覚悟で。
それを楽しんでいるのか。
マークスは広角をニヤリと上げ、牙を彼女の白い肌に――。
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