小説2

□夏の音
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ついにやってきた、その時。
カムイはアクアと共に大きく貼りだされたそれを、人混みを避けながらまじまじと観察するように見つめる。


「アクアさん、やりましたねっ!
断トツの一位ですよ!!
レオンさんも満点で一位ですね」

「カムイもじゃない。
自分のことより他人を優先させて喜ぶなんて、あなたらしいわね」


カムイはアクアの両手を取り、感激のあまりその腕をぶんぶんと上下に大きく振る。
がアクアもエリーゼとの交流を通して慣れたものなのか、カムイの様子にくすりと笑ってみせる。


「音楽は唯一自信がある教科だったの。
レオンやカムイも流石、といったところね」

「私はみなさんの教え方が上手かったからですよ!
マークス兄さんが次いで、エリーゼさんとカミラ姉さんは同点ですか」


他にもラズワルドがエリーゼやカミラより高得点だったらしく、サイラスやオーディンも成績上位者の中に名前を連ねていた。
聞くところによるとオーディンはかなりひねくれた解答をしていたそうだが。


「あっちではタクミとリョウマが同点で一位みたい」


音楽と対になっている選択科目、習字。
そこには白夜のきょうだい達が揃って名前を連ねる。
やはり一番上に君臨するのはタクミと、意外にもリョウマであった。
次にサクラときて、ヒノカも成績上位者として載っている。
何やら動く気配がした気がして、カムイが天を見上げるとサイゾウが小さくガッツポーズをしていた。
――が、彼女は見て見ぬフリを貫いた。


他にも美術はレオン、タクミ、に次いでカムイ、そしてアクアも上位者にランクインしており。
エリーゼやサクラもなかなかの好成績を修めたようだ。
暗夜文学では暗夜出身の彼らが揃って満点を叩き出し。
タクミが惜しくも数点及ばなかったようだ。
逆に白夜文学でも白夜出身の彼らがトップを独占し、レオン、カムイが惜しい結果となった。
アクアは言わずがもな。


「……勉強することって、たまに路頭に迷うのよね」

「それらしく言ってますがようするに音楽にほぼ全てを託したんですよね!」

「あら。
何故分かったのかしら」


音楽と、それから美術以外に収穫は見受けられなかったそうだ。
なんとも彼女らしい結果であった。
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