小説2
□楽園でキミと
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それはもしもクジ引き屋の景品である『楽園への招待券』が、二人一組での参加を認められた世界だったら。
「アクアさんどうしましょう……!
驚きのあまり開いた口が塞がりません。
これを見て下さい」
「これは南国への招待券ね。
南国といえば海だわ。
そうね……、エリーゼやサクラにも話してカムイに似合う水着を買いに行きましょう」
「え、あ、ああの……!?」
かくしてカムイはアクアことアクアネキに淡々とした様子で街まで連れられ、途中で合流した妹達と共に水着選びへと時間を砕く。
「そういえばおねえちゃんって、誰と南国に行くの?
もしかしてー、おにいちゃんとか?」
「あっ、私も実は……気になってました」
二人の妹はカムイに並びながら悪びれる様子もなく微笑みつつ姉の答えを待つが。
「二人とも野暮ね。
この手のイベントには土産話に期待するものよ。
せっかくきょうだいが水着選びに協力しているのだもの、それくらいはいいわよね?」
そっちの方が気恥ずかしい気もするのだが。
だからといってカムイには何もきょうだいに礼をしない、という選択肢などなく。
彼女は世界中にいるという赤髪の行商人から風景を映し出す魔法を用いた紙を持ち帰ってくることをきょうだいに約束した。
目次
2 マークス
3 リョウマ
4 レオン
5 タクミ