小説

□親離れ? 〜Tales of Year〜
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翌日、昼頃。

「あれ、みんなが来ないですね」

寮の入り口に集合する約束だったがカイルの姿はおろか、ロイドの姿すらない。

隣で静かに皆を待つクラトスと、不安を隠せないスタン。
一体息子たちはどうしたものだろうか?

「…大方、今になって荷物を詰めているのではないか?」

嘆息するクラトスだったが、それでも息子を待っているので彼の面倒見の良さが窺える。

「きっとカイルたちのことだ、今日が楽しみでたまらなくて、充分に睡眠を取れなかったんですよ!」

「…………」

クラトスの自分に向ける眼差しが哀れみに満ちていたのは気のせいだろうか。
スタンは首を傾げるが、問題を解決する由はなかったという。

「父さ〜ん!」

ようやく聞き覚えのある声が飛んできた。
慌てて駆けつけてくるカイル、継いでロイドだ。

「カイルもロイドも、随分と荷物が少ないんだな」

スタンの着目点にカイルもロイドも疑問を覚える。
餅つきだけだったはずなのに、そんなに大荷物が必要なのだろうか。

「餅つきするだけでしょ。父さんこそ、そんなに大荷物でどうしたの?」

我慢出来ずにカイルは自分の父親に大荷物の理由を尋ねる。

そうか、もしかしたら−…

「俺、キャンプすることにしたって二人に伝え忘れたってことか…?」

「「え……、」」

えええええぇぇぇ!?と二人の叫びが学園中に響き渡る。
どうやら今回で初耳らしい。

「……キャンプは四日間ほどのものだ。そうなるとすぐに準備は出来んだろう。三日後、今日と同じ条件で出直そう」

そんな状況下でも冷静にクラトスが仕切り、今日のところは解散となった。

カイル、ロイドは二手に分かれて仲間たちにキャンプに行くという情報を流した。

すず、しいなはもちろん、イベントに関心を持ち名乗り出た者、またはカイルやロイドが誘った者。

かれこれそれは随分と時間を要した。
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