小説
□親離れ? 〜Tales of Year〜
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「ロイド、カイル」
放課後、スタンの呼び出しにより二人は廊下に連れ出された。
そういえば最近、授業で居眠りしてばっかだからなぁ…と二人の脳裏をよぎる。
とはいえ、スタンも職員室ではほぼ休憩時間をとっているらしいから互角の勝負になるのだが。
「なあ二人とも、『餅つき』をやってみないか?」
「餅つき??」
新しい月の名前か?
とロイドが首を捻る。
とにかく二人は安堵し、気が抜けたような思いだった。
「あ、俺知ってるよ!すずちゃんから聞いたんだけど、餅っていう白くて伸びる食べ物を突くんだよね」
カイルが言うには、餅はもち米というものを原料として作るらしい。
「へぇ、そうなのか。そういえば、しいなからそれっぽいことは聞いたことあるような…」
「多分さ、すずちゃんとしいなの故郷の風習なんだよ」
彼女たちしかその風習の存在は知らなかったため、おそらくはそうなのだろう。
カイルもロイドも興味津々だ。
「俺もよくは知らないんだけど、クラトス…さん?が一年の節目にどうだって言うから二人を誘ったんだ」
「あいつが?珍しいこともあるもんだな」
スタンを疑っているわけではないが、ロイドは目を丸くして信じられないという様子である。
「ねぇロイド、やってみようよ!すずちゃんやしいなに見てもらうなら安心でしょ?」
「カイルの言う通りだな。ということで先生、その話に乗らせてもらうぜ」
二人は待ちきれない、と口々に語り合いながらその場を後にした。
その様子にスタンはそっと微笑んでいた。
大事なことを伝え忘れていたとも知らず…。