小説
□テイルズ学園 第7章
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「俺さまの本気、見せてやるよ…」
今まで戦う意志がないと思われ、攻撃を受けなかったゼロス。
戦う意志がないとクラトスは仲間を攻撃しないらしい。
ゼロスも特に勝算なく詠唱を始める。
「安息に眠れ、罪深き者よ。食らいな!ディバインジャッジメント」
通常のジャッジメントより威力を増し、光柱の数も倍のジャッジメントを放つ。
たちまち砂ぼこりが舞う。
「俺さまのとっておきなんだ。少しはやられてくれるだろ」
ゼロスが無責任に、しかもわざと相手に聞こえるように肩をすくめる。
砂ぼこりが晴れてから相手をよく観察していたユアンが驚きの声をもらす。
「無傷…だと?」
一行もつい目を疑ってしまう。
「…油断するな」
クラトスの魔剣が一瞬だけ不気味に輝く。
「あなたたち方が共通して持っている感情が、私と戦う意志を歪ませる。…スタンのようにな」
クラトスはヒントとも説教ともとれないセリフを吐き捨てるかのように発する。
「(共通の感情…?)」
スタンは剣を握る。
たちまちディムロスはその刃に炎を宿す。
「お前、気付いているんだろ?クラトスさんの言う"共通の感情"の正体に」
「…」
スタンはディムロスに問い掛けるが、ディムロスは無言を突き通す。
「ようやく分かったよ。俺は気付いていないだけだったんだな」
スタンは真っ直ぐにクラトスの前に立ちはだかる。
いざとなればディムロスも力を貸してくれる。
「本当に大切なのはクラトスさんを倒すことじゃない。死ぬかもしれない、という恐怖を克服して仲間と協力し、攻撃することだったんだ」
ようやく核心までたどり着いた。
ただ、仲間はすでに動ける状態ではない。
「その点では合格だ。しかし協力して私に攻撃していない。…構えろ」
スタンは意を決して剣を構える。
ディムロスがさらに炎の量を増す。
「…本気で行かせてもらいます。行くぞ、ディムロス!」
「そうでなくてはな。いくぞ、我が相棒よ!」
スタンとディムロスの決意は他の誰よりも堅い。
恐怖を抱かず、契約しようという気持ちがスタンを動かす。
「俺たちより先を越したのか。それも面白いがなぁ」
バルバトスにはスタンが頼もしく見えた。
最初は戦えずに躊躇していたからだ。