小説

□テイルズ学園 第7章
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「…スタン、こういう時には二通りの選び方がある。やりたいことをとるか、やらなければいけないことをとるか、だ」

リーガルがスタンの落としたソーディアン、ディムロスを拾い上げる。
そして真っ直ぐにクラトスを見つめる。

「君の場合、彼と戦いたくないというのが本心だ。だが、やらなければならないことは…オリジンとの契約のために彼を倒すこと。違うか?」

「俺は…リーガルさんのように強くないんだ。仲間とは戦えない!」

スタンは自分の本心が分かりつつも戦うことを促すリーガルに憤りさえ覚えていた。

「…仲間を信じているからこそ戦いたくない。それも立派な強さだ」

リーガルはディムロスをスタンの近くにそっと置いた。
そして一気に駆け出す。

「人によって強さは異なる!だから私は決めた。仲間を信じているからこそ、やらなければいけないことをとる。つまりクラトス、貴殿の相手を全力でいたす!」

リーガルは凄まじい勢いで相手との間合いを詰める。
片脚を軸にし、もう片足で相手の腹に蹴りを見舞う。
だが容易にかわされる。
そして追い打ちとして蹴りを喰らう。
リーガルは一瞬で木の幹に叩きつけられた。
その反動として一瞬呼吸が止まったせいで激しくむせる。

「…指示通りに頼むぞ」

クラトスはラジオのような機会にそう伝える。
すると機会からは「了解」と声が聞こえた。
それと同時に周りには薄い透明な膜が現れ、それにヒビが入る。

「ダテ学の遣いとして戻ったレプリカたちのおかげだ。これで封印術(アンチフォンスロット)の効果は解かれた。自由に術技を使うといい。ただし、生徒は下がってもらおうか。怪我をさせたくないのでな」

クラトスはそう忠告する。
そして剣に自分のマナを少し注ぐ。
剣は燃えるような紅に染まる。
炎の魔剣、フランベルジュの真の姿だ。
それを一振りすると、生徒たちは攻撃を受けない範囲まで弾かれた。

「ワールドデストロイヤー!」

バルバトスが最大限に力を生かし、上空から地上のクラトスに向けて斧を振り下ろす。
しかし相手の方が素早い。
クラトスは瞬時にそれをかわすとバルバトスの背後をとる。
そして一閃。

「ぐおぅ…」

バルバトスは剣を背中で受けながらも豪快に斧を横に振り払う。
それは相手の頬を軽く斬った。
バルバトスはそれきり剛•魔神剣で木に吹き飛ばされる。
斧は石碑の近くに刺さったままで。

「回復が追いつかないわ!」

リフィルがバルバトスにファーストエイドを唱えている。
しかし頑丈なバルバトスは相手に立ち向かって行けるほど回復していない。
なのにクラトスは次々と仲間に攻撃しては魔術を唱え、さらに攻撃してくる。

「ジャッジメント!」

クラトスは無数の光の柱を放つ。
仲間たちは傷付いた体でなんとかかわしている状態だ。

「近接でダメなら、遠距離ならどうだ?出でよ、ヴォルト!」

クラースは雷の精霊を召喚する。
ヴォルトは荒ぶる雷を出現させる。

「か、雷!?」

しいなは雷が苦手なので思わず地に伏せてしまう。

激しい雷がクラトスを襲う。
だが彼は無傷だった。
剣は炎と共に雷を帯びている。

「剣一本でヴォルトの攻撃を受け止めただと!?」

クラースは驚きのために動きが止まる。
そこにクラトスが間もなく風雷神剣でクラースを突く。
ヴォルトの雷を受けた剣は余計に雷の効果を強力にした。

「マジでヤバいんだけど…っ!」

レイヴンは未だに無傷だが、自分に剣が向けられるのも時間の問題だ。

「ふんっ!」

矢に手をかけた瞬間、レイヴンはすでに蹴られていた。
…リカルドに。

「危ないじゃないの、もう!痛いなぁ…まったく」

だがレイヴンは見てしまった。
自分をかばったリカルドが背中から斬られたところを。

「…余計な世話だってのに」

レイヴンはすぐに矢を放つ。
だが当たる気配はない。
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