小説

□テイルズ学園 第5章
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「あら、私はあなたにまかせるわ」

「そう?それじゃあ、あたしがキャンプに行くね。スタンの面倒見なくちゃいけないし。仕事はちゃんとやるから」

「頼りにしているわよ」

リフィルはルーティに微笑み、頷く。
ルーティはまだこの学園に来て間もないが、リフィルとの信頼関係がきちんと成り立っている証拠だ。

「(おっさんもあんな風に微笑まれたいのは山々なんだけどね)」

レイヴンは彼女たちの会話を見つめて内心呟いた。

大人な笑顔がかなり素敵なリフィル。
いつも元気なだけに、純粋で無垢な笑顔が魅力的なルーティ。

…レベルは高い。

「なぁ、肝心な事を決めてないぜ。キャンプ場はどこにするよ?」

ゼロスが大声で教師たちに問いかける。

「―微笑みの森はどうだ?」

職員室の扉を開けると同時に突然と声が響いた。
重みのある、荘厳な声。

「「「「ユージーン!?」」」」

職員室中の誰もが驚きの声をあげた。

「ああ。おはよう。この爽快感、何日か寝たきりだったようだが…俺はこの通りピンピンしてるぞ」

ユージーンはハハッと笑ってみせた。

「いつ目覚めたんだ?」

レイヴンがユージーンをマジマジと見つめ、尋ねる。

「たった今…だな。それがどうしたんだ?」

「マタタビ…すごい効力だわ。今さらだけど彼の言っていた通りね」

リフィルがユージーンを見るなり、ポツリと呟いていた。

「…それで、ユージーンは『微笑みの森』と言いましたね。根拠でもあるのですか?」

ジェイドが進行として話を切り替える。
彼のメガネがギラリと日光を反射させた。

「あそこは自然と魔物以外本当に何もない。だからキャンプという野外学習を体験するにはもってこいのはずだ」

「んじゃ、俺もユージーンの意見に便乗するかねぇ」

レイヴンはユージーンと肩を組んだ。
馴れ馴れしい、と言えばそうなのだが。

「―わしは任せるぞい」

校長は頷く。
またしてもいろいろと面倒くさかったから。

「では決定ですね。『微笑みの森』にしましょう」

「おし、決定だな。そんじゃリフィル先生は…頼んだぜ」

ゼロスが妙な微笑みをリフィルに見せた。
彼女の苦労を想ってのこの表情だ。

「残念だけどユージーンが目覚めた今、私が残る必要はないわ」

ゼロスの期待を裏切ることになる、とリフィルがため息をつく。

「ゼロス、結構ヒドイ奴ね〜。女心というのを理解してやりなさいよ〜」

レイヴンがゼロスを冷たい目で見る。
一番あんたに言われたくないっつーの。
でも、まぁ…ここは冷静に考えてみよう。

「あ?そっか。ユージーンが起きたとなると、リフィルと野郎で二人だもんな。いっそ、それよりは全員で行こうってことだな?」

「そそ。よろしい」

レイヴンはゼロスにしつこいぐらい頷く。
大げさだ。

「では、全員出席でのキャンプです。それはそれは楽しみですね〜」

「ジェイドが言うとそう思えないんだよね。なんだか不思議だわ〜…」

レイヴンがジェイドを疑いの眼差しで見つめた。
しまった、つい本音が漏れてしまった…。

「心外ですね…」

ジェイドは悪魔のように微笑みながらメガネを手に取り、クルクルと回していたそうだ。
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