小説

□テイルズ学園 第5章
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その後、教師たちの職員会議。

出席可能な教師全員が出席していたため、職員室は熱気が立ち込めていた。

「ふう…会議進行役のユージーンがいないと大変じゃな。全員が揃っていないと寂しい…というのもあるしのぅ」

校長のクレメンテがため息をつく。

「現状、ユージーンは目覚めていません」

リフィルがクレメンテに報告する。

「それじゃあ…進行役は二人ともしばらく欠席かの。代理の進行役はどうするもとかのぅ…」

クレメンテがチラリとユージーンやクラトスの席に目をやる。

「んじゃ、俺がやるわ」

ゼロスが進行役を買って出た。

「おぬしが?…では、まかせるぞい」

「ゼロスだけでは心もとないですし。私も飛び入り参加しますよ」

ジェイドも同様に。
密かにゴールデンヴィクトリーのコンビだったり。

「ま、まかせるぞい…」

クレメンテは二人に圧倒され、進行役を任せることにした。
というよりいろいろ面倒なだけだったのだが。

「では、本題に移りましょう。もう少しでこの学園にも夏休みが到来します。おそらくはレイヴン、あなたが夏休みまでクラトスの代理で国語の授業を受け持つことになります。それに対して質問や意見は?」

ジェイドがレイヴンに視線を送る。

「俺?うーん…いっそ、授業やらないでキャンプをやりたいところだけどねえ」

「「「「「は?」」」」」

ほとんどの教師がレイヴンを不思議そうに見つめる。

「ほらぁ、今は祭りとかキャンプのシーズンでしょ?だから、国語っていうプリントばかりをやる自習よりは楽しいキャンプとかの方が生徒たちも色々学べるんじゃねーの?って話よ」

レイヴンは自信ありげに、まるで自慢するかのような態度で賛同を誘う。

「おいおい…正気か?クラトスに後で殴られても知らないぞ。そんな荒いことはしないと思うが…」

クラースがレイヴンに忠告をする。
意外と痛い(?)らしい。

「あれ?じゃあ、あなたがクラースさん?」

スタンが頭に?を浮かべている。
純粋な子供のように。

「もうそのネタ、やめてくれよ…」

クラースが椅子の上で器用にうずくまる。
しばらく復帰不可能。

「とりあえず校長さん、どう思うよ?」

そんな二人のやりとりを見つめながらレイヴンは校長を見る。

「夏休みも近いことだしのぅ…今まで頑張った分、生徒たちへのご褒美じゃぞ」

簡単に許可を出した校長にほとんどの教師は硬直状態になる。

「やっぱりさ、校長は優しいわぁ。じゃ、キャンプ行こうぜ」

レイヴンは微笑む。
ほんのりだけ遠足気分。

「…おい、レイヴン。まさかお前、ダテ学と手を組んでないだろうな?」

ゼロスが眉間にシワを寄せる。

「何でそうなるワケ?俺さま、信用ないのねぇ…」

レイヴンが肩をすくめる。
そして視線をユアンやバルバトスに。

「…ダテ学…」

リフィルがユアンとバルバトスを睨む。
彼らはリフィルに背中を向けて視線を受け流す。
いわゆる逃避行である。

「リフィル、ダテ学のことはありのままを話してもらったが…あまり彼らを恨まないでくれんかのぅ。ここにいる以上は仲間なのじゃから…」

クレメンテがリフィルを慌てて説得する。

「(複雑ねぇ…)」

レイヴンはユアンとバルバトスを遠い目で見る。

「そんじゃ、キャンプの予定立てないとな。どーするよ?」

ゼロスが複雑な空気を断ち切った。

「あさってから…が妥当じゃないか?」

クラースが開き直った。

「それじゃあ、私たちはキャンプの間の食材を買いに行きますね」

リリスはマリーとどの食材を買うか話し始めた。

「それなら、荷物持ちとして男手が必要だろう?俺たちも手伝うぜぃ。なあ?3Dユアン」

「分かった分かった。お前は暑苦しいから黙ってろ」

バルバトスとユアンはリリスたちの話し合いに参加し始めた。

「そんじゃ、あたしは保健関係を引き受けるわ」

ルーティは保健室を共に担当しているリフィルと話し合いだした。

「…俺はどうすればいい?実は罠を解除する魔物を仕留めてなくてな」

リカルドが銃を見つめて考えこんでいる。

「困ったのう。そうなると、キャンプ行こうにも行けないということか」

校長もリカルドの言葉に考え込む。

「しかし、俺はセレーナの護衛も受けているからな…」

「それじゃ、リカルドはキャンプに来てくれ。魔物は…わしらがいないなら問題ないと考えよう」

「…分かった。俺はキャンプの直前まで魔物討伐に力を入れる」

リカルドはそれだけ言うと、職員室を出て行った。

「あ、そういえばさぁ、ルーティかリフィルはどっちかこの学園に残した方がよくない?ユージーンとなんとかっていう奴を残して行くのはマズいっしょ」

レイヴンがルーティとリフィルに提案する。

「あ、そうかも。どうする?リフィル」
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