小説

□テイルズ学園 第3章
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クラースも森を立ち去り、村へと寄った。
いつもより賑やかだ。一体どうしたのだろうか。

声の方向へと進み、ようやく原因を見つけることができた。

「おつかれ、みんな」

彼は右手を軽く挙げ、ねぎらいの言葉を発した。

「あ、クラースさんだ。こんにちは」

「本当だ。お疲れ様です」

「お疲れ様。なあ、一休みしようぜ」

エミルに続き、ルカ、カイウスと挨拶をして、剣を収める。
どうやら休憩らしい。

「剣の稽古か?休日なのに熱心だな」

「休日だからですよ。たくさん時間もあるし、僕たちだって強くなりたいんです!」

エミルがクラースに熱心に答えを返す。その瞳には輝きがあった。

間違いない。彼らの強くなりたいという気持ちは本物だ。

彼らが話をしていると、クレスとロイド、ルークがやってきた。

「あ〜、ようやく休憩か。ちょっとキツいかもな」

ルークが呟きながら近場のベンチに腰をかけた。そしてペットボトルの水をがぶ飲みしている。

「でも僕らが少しずつ強くなっているのは確かだ。剣の筋がよくなった、って誉められたしね」

クレスもルークと同じ行動をした。
二人で揃ってベンチで水をがぶ飲み。

ロイドはルークたちがいるベンチの隣に立ち、水をがぶ飲み。

「稽古か。師匠(せんせい)は?」

「師匠は多分…今来ます」

ルカがクラースの疑問に答えると、来ましたと師匠の方向へと向き直った。

「スタンにクラトスか。お疲れさま」

クラースが挨拶をする。
スタンからもクラトスからもちゃんと反応があった。

「あ。クラースさんとクラトスさんが揃ったら…どっちがどっちか名前が不安になってきた」

スタンが頭を抱えて考えている間、ルーク、クレス、ロイド、エミル、ルカ、カイウスと声を合わせて笑った。

クラトスは顔に片手を当てやれやれと言いたげな表情だ。

「クラースさんはどうしてここに?もしかして、あなたも稽古ですか?」

エミルがクラースに質問を持ちかけた。

「まあ…オリジンと話をするため、かな」

「オリジン…?」

エミルたち生徒、スタンは頭を傾げている。とうやら知らないらしい。

「オリジンは精霊の王だ。今は封印されていて姿はもちろん、話すら出来ない状態なんだ。だから結果はなかったと言える」

「そんな…」

カイウスが残念そうにうつむく。

「なに、オリジンに頼らずにやらなければいけないことなんだ。命あるヒトたちの手でな」
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