小説
□テイルズ学園 第2章
3ページ/14ページ
「…何だ、その何か言いたげな眼差しは」
ユージーンは不満そうに目を細めた。これ以上に疑り深い目をゼロスは今までに見たことがない。
「俺のことを尾行している暇があったら、一刻でも早く学園に慣れるようにマーキングしてろってんだ」
「俺はマーキングの必要はない。ちゃんとトイレを使うしな」
「いやいやいや。トイレ使うとか、そういう問題じゃないっしょ」
ゼロスは両手を広げ、大げさに頭を左右に振って、いかにも呆れましたとリアクションをしている。
「神子(みこ)、お前はそういう癖が―(以下略)」
この下りは長く続くのがお決まりというもの。
出来れば早く終われと願うばかりだ。
一通りとりとめもない質問に答え、こちらからも質問を返す。
「んで、いつから俺さまに気付いていたわけだ?」
想像に任せようと答えたのはユージーンだった。
ほんの少しの時間の後、彼はゼロスに向き直りこう告げた。
「ゼロス、ここから先は絶対にくるな」
「どうしてだよ?」
「…答える必要はない」
彼はこれ以上は本当に危険だと釘を刺し、踵を返してどこかへと姿を消す。
「(…あいつら、一体何やってんだよ)」
ゼロスは一人、廊下で立たずむ。
しかし考えたところで答えは見つからない。