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□ダウト
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いい子でいるのには疲れた。

迷惑をかけないように、
邪魔をしないように、
心配をかけないように、
いい子でいようとした。

そうすればみんなが喜ぶ。

私を必要としてくれる。

だから私は現実(ここ)にいられると思った。


でもそれで私の心は満たされたことはない。

潤い等は皆無に等しかった。

【死にたい】と何度思っただろう。
いっそこの世界から居なくなった方が私はなにもかもが自由になれるのではと幾度となく感じた。


「何?君死にたいの?」

その時黒い服をたなびかせてアイツが現れた。
絶対に会いたくなかったアイツが。
『折原臨也』が。

「死にたいのなら薬物死でも飛び降りでもして死ねばいいよ。」

そういい彼は私に詰めたい視線を向ける。
だが口元は笑っていた。
いや、ただ単に楽しんでいるだけか、それとももう生物としての役目のない私を皮下しているだけか。

「でも君いいの?バカバカしい理由で死んでもさー」


「次はさ俺のために生きてみない?」

耳を疑う台詞に思わず目を見開いた。
あの折原臨也が生きてみないかと誘って来ただと。
そんなことがあるものか。
きっと私を試して楽しんでいるんだ。

「どうせ嘘でしょ?いい加減下らない嘘やめなさいよ」

「嘘じゃないさ。全部ホント。君の素顔が知りたくなったんだ」

そういい私の目の前に歩き寄る。
コツコツという靴の音が狭い路地裏に響き渡り、徐々に私に影を落とす。

「俺の元に来ない?」

彼が差し出した手をそろそろと握り、目を合わせた。

彼を見ると不敵な笑みを見せながら私の目を見つめる。

それはまるで私の素顔を覗き込むように。




(君の素顔は一体どれだい?)
(ホントの顔を見せてよ)
(でないと俺の負けじゃないか)


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