タン

□イワニシみいるセミの声
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「こういう所ですると、興奮するのかよ?蝉」


「う…ぁ…!」


岩西に突き上げられながら蝉は、掠れるような声をあげた。

薄暗い事務所の中でデスクに仰向けになり、岩西に腰を捕まれ揺さぶられる。


「うぁ…ぁ…」


岩西が動く度、蝉のほどいた長い髪もゆらゆらと揺れる。

ブラインドから僅かにもれる月明かりが、蝉の白い肌を青白く浮き上がらせた。


「触ってねーのに、ダラダラじゃん。ここ」


つーと濡れたそこに指を這わせると、蝉の体がビクンと震える。


「あっ…岩西、も…触って…!」


蝉は苦しげに訴えるが、岩西は耳を貸さなかった。


「だめだ。お前なら、中でイケるだろ?」


「あぁっ…!」


岩西は蝉の膝裏をつかみ、更に腰を進める。

蝉は涙を浮かべ、ぐっと喉元を反らせた。


「そうだ…たまには、こういうのも良いんじゃねーか?」


「…?」


不思議がる蝉をよそに岩西は蝉の背中に手を差し入れる。

そしてそのまま抱き上げると、いわゆる抱っこの体勢になった。


「…!」


蝉はそのあまりの深さに息を詰めた。
声も出せないまま、ただ必死に岩西の首筋にしがみつく。


「ははっ…!そうしてると、本物の蝉みてぇ…!」


岩西は茶化すが、蝉には反論する余裕もない。

内部から押し寄せる快感の波に、気を抜けば飲まれてしまいそうだった。


「なぁ蝉、知ってるか?」


「あ…っ…!」


岩西は蝉を抱えたまま、強く腰を突き上げる。
蝉は岩西に絡めた足をぎゅうと交差させた。


「カマキリは、蝉を食うんだぜ?」


「はっ…ぁ、あ…!」


ダラダラと先走りをこぼす蝉は、岩西の言葉に集中することが出来ない。

それに構わず岩西は続けた。


「今の俺たちと、一緒だな…!」


岩西がぐい、と蝉の腰を引き寄せると、既に限界だった蝉は二人の腹の間で達した。

トロリとした温かい液が、ゆっくりと腹を伝っていく。

その強い締め付けで、岩西も果てた。


「はぁっ…はぁ…」


荒い呼吸を繰り返し、蝉はデスクの上でぐったりと横になる。

そしてまだ上気した顔を気怠げに岩西に向けた。


「…なんつーことすんだよ、エロ中年」


蝉は睨むが、声に力はなく息も上がったままだ。
岩西は顔色一つ変えず、蝉の足を割り広げる。


「んな口聞いてると、もう一発、ヤるぞ」


「はぁ!?もう、無理…!」


「冗談だよ」


笑いながらも岩西は、半ば本気だった事は言わないでおこうと思った。

そしてこんなにも蝉に触れたくなる自分の衝動に、捕らえられてるのはもしかしたら俺の方かもしれねぇな、とも思ったが、それも言わなかった。

世にも珍しい、蝉に捕食されるカマキリだ。


「何ニヤニヤしてんだよ、エロかまきり」


「何だよ、そんなにヤって欲しいのか?」


「ちがっ!やめろ…!」


逃げをうつ蝉の腰を捕まえて、岩西はその白い首筋に一つ、痕を残した。



end



2011.4.2
 

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