ワンピース
□トイレ
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ユースタスさんに怒られた翌日。
あたしは珍しく早起きだった。
だが。
「超トイレ行きたい。」
ヒロインにあるまじき発言だって?ふざけるんじゃないよあたしは進んでヒロインになったわけじゃないんだから。
そもそもトイレに行けないのはこの部屋の扉の小窓にユースタスさんらしき影が見えるからだ。
カーテンかかっててもあの特徴的な髪型は誤魔化せない。
「てかなんで女の部屋の前に立ってんだよー…おかしいだろー…」
そう。おかしい。
昨日あんな感じで会話終了しちゃった相手の部屋の前に何のご用ですか閣下。
「でもトイレ行かないと、なんとか炎になるって言うし…」
行くしかないのか…
病気になったらそれこそまた迷惑かけて怒られてしまう。
とゆうかそんな病気はこっちが恥ずかしくなってしまう。誰が診るんだ。
「ユミ、いっきまーす…」
ローテンションで某アニメヒーローのセリフを呟いてドアを開ける。
ガチャッ…
ドンッッッ!!!!
「ってえ!!?」
「あ、スンマセン。」
「てめぇわざとか!?」
「誰がわざとそんな危険なマネしますか。事故ですよ事故。」
どうやらあたしが気合いを入れて開けた扉に寄りかかっていたユースタスさんは押されて反対側の壁に激突したらしい。
なんたるギャグ。
「…着替えてねえのか。」
「あぁ…昨日あのまま寝てしまったもので。」
「そういや買ったモンは俺の部屋にあったな。」
「あー、そうでしたか…」
あたしの今の格好は昨日の真っ赤なワンピースにヒール。
買ったはずの寝間着はキラーさんたちが運んでくれたため、どこにあるのかわからなかったが、どうやらユースタスさんの部屋にあるらしい。
キラーさん何故そこに運んだ。
そんなことより。
「ユースタスさん。」
「ああ?」
「昨日のことはいくらでも謝ります。すみません…あたしにできることなら死ぬ以外なら何でもします。」
「ほう。何でも、か。」
悪人面が歪んで笑みを作る。まあ、ブサイクではないんだけれど。むしろイケメンだと思う。
「ただ、」
「?」
「その前にトイレ行かせてください!失礼します!!」
「は?」
そう言ってあたしは猛ダッシュでユースタスさんを横をくぐり抜け、途中出会ったツノ生えた人を張り倒し、声をかけようとしたキラーさんを押しのけてトイレに駆け込んだ。
人間耐えられないことだってある。