テニスの王子様
□第八話
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〜黄犬塔〜
柳「ナツコ様、どうなさいましたか?」
ナツコ「何でもないわ。雪が綺麗だと思って。」
柳「年に一度ですからね。」
ナツコ「そうね。・・・そういえばはじめは?」
柳「資料整理に追われているようです。」
ナツコ「蓮二はいいの?」
柳「俺は昨日のうちに終わらせましたよ。」
涼しい顔で答える蓮二。
本当によくできた家臣だ、とナツコ
は感心する。
ナツコ「さすがね。やっぱり新人のはじめには今の仕事量はキツいのかしら?」
柳「そんなことはないと思いますが・・・。」
ナツコ「そう?珍しく手間取ってるみたいじゃない。」
柳「それは赤也が仕事を放ってユミ様の所へ行ったからですよ。」
「ユミさまーー!!遊びましょうよーーー!!!!」
「「・・・。」」
何やら黒蝶塔の方から叫び声にも匹敵する駄々が聞こえた。
ナツコ「・・・ねえ。」
柳「なんでしょうか?」
ナツコ「切原には仕事させない方がいいんじゃない?」
柳「そうですね・・・。」
どこか遠くを見て呟く二人。
ナツコ「それにしてもあの子よくユミに懐いてるわよね。」
柳「もともと甘えるのが得意な奴ですから。」
ナツコ「そうかもしれないわね。」
雪が積もっていく外を見ながら、柳が入れた紅茶に手をつける。
ナツコ「確か、十数年前の今日よね。ユミが切原を連れてきたのは。」
柳「そうでしたね・・・。」