小説

□並行する想い
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FAIRYTAIL ゼレフ→←ナツ

※OPからの捏造。






「ナツ……ずっと…ずっと、会いたかった…!」
「ゼレ…フ…?」


 信じられなかった。

 目の前に彼がいることも、こうして再び逢えたことも。





 偶然が偶然を呼んだ。

 何か、只ならぬ予感がして来てみれば、仲間に襲い掛かる黒い魔法。

 その中心にいたのは、幼い頃に出会った彼。

 一緒にいた期間は短かったけれど、大好きだった。

 ずっと一緒にいたかった。





「その魔法……お前、まだ…」
「…結局僕は…一人でいるしかないんだ…。」

 彼は、諦めたように寂しく笑った。



 そうだ。

 昔から彼はそうだった。

 全てを消滅させるその魔法のせいで、人・動物・物など全てから離れる事を余儀なくされた。

 だがゼレフ本人は、それら全てと接する事を望んでいた。


“いつか、大切な人…ナツと一緒にいたい”

 そう俺に言ってくれた。

 だから

 だからこそ

 その躰が朽ちようとも俺は…ゼレフといたいと思った。

 今度こそ……



 その思いから少しずつ彼に近付くと、

「来ないで!!」

 彼は大声で叫んだ。

 勢いよく下を向いたからか、ボタボタッと雫が地面へと落ちる。

「…もう……もう、誰も…傷付けたくない…ッ!!」

 その言葉に耳を傾けることなく、俺は彼の数歩前で止まった。

 逃げようとする彼の両腕をつかみ取り、真っ直ぐと見据えて言う。

「帰ろう…俺と帰ろう、ゼレフ」
「っ………」

 ビクッと体が動き、顔をあげる。

 その目は大きく開かれ、信じられないとでも言うような表情だった。

「それで、一緒に暮らそうぜ」
「ナツ………ゔっ」

 突然、彼の顔が悲痛に歪むと、体から黒い魔力が流れ出て自ら彼体を覆った。

 魔法の暴走である。


「ぐっ…あ゙、あ゙あ……ナ、ナツ…逃げ…っあ゙あ゙あ゙あ゙あぁ!!!!!」
「ゼレフ!!! くっ…」

 あまりの魔力に地に伏せたが、中心にいればそれも意味はない。

 だが……正面から食らったにも関わらず、俺の体は何も起こらなかった。

 変わった事と言えば、イグニールから貰った白いマフラーが、あの魔法と同じ…黒色になっていた。

 そして、ゼレフは目の前から姿を消してしまった――





「はぁ、はぁ、はぁ…っはぁ…」

 ナツがいた場所から移動し、木にもたれて座った。

 久し振りに逢った彼は、昔と何も変わっていなくて…。

 逢えるだけで良かったのに、一緒にいたいと思ってしまった。


「でも、それじゃあ駄目なんだ…」

 息が整うと立ち上がり、どことなく歩き始める。

 僕は殺されなければならない。

「僕はいてはならない存在だから…」


“彼しか”僕を殺せない。

 だけど――




「ゼレフ…」
「ナツ…」



――『好き』――






end.

本命はグレナツだったのに…新章始まって出て来たゼレフの一言で私は堕ちた…。マイナーだろうが好き。
アニFTの続きが気になる…。
当初ほのぼの書く予定が…なんだコレ?

[20111017]
追記[20120207]

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