小説

□澱流雨
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テイルズオブジアビス ルーク独白





 雨は嫌いじゃない。

 宿の部屋から見える外は黒く翳り、全てを覆い尽くしてくれるようで。

 荒ぶる心を、鎮めてくれる。

 汚れた心を、洗い流してくれる。

 そんな気がする。



 窓を開けて手を伸ばす。

 指先に当たるその雫に、もっと触れたくて。

 薄着のまま部屋から出て行った。





 激しい雨が降る中。

 傘も差さずに独り歩き続ける。

 人通りは少なかったが、通りすがりの人には奇妙な目を向けられた。


 それでもいい。


 髪も服も全てびしょ濡れになっても、構わない。


 立ち止まり目を瞑って上を向く。

 雨粒が顔に当たり流れて行く。





 そのまま、俺の心を流してほしい。


 澱みきった、この心を。




 そうして俺は、空へ笑みを浮かべる。



End.

部屋から眺めるのは好きです。外には出たくありませんが。丁度外が豪雨だったので書き殴りました。

追記[20120207]


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